韓国のクジラ料理、12種の味わい

 「鯨肉(げいにく)好きこそ本物のグルメだ!」

 数年前日本に行ったとき、現地の有名な料理人がクジラ料理を出しながら言った言葉だ。

 鯨肉は牛肉とマグロを足したような味がする上に、肉類特有のコクのある味わいと魚のまろやかさを同時に楽めるからだろう。

 しかし鯨肉は、捕鯨が禁止されている韓国ではめったに口にすることができない。時々誤って網にかかったクジラを蔚山などの海辺で食べることができる程度だ。

 しかし最近、ソウルでも鯨肉を味わうことのできる専門店がオープンした。

 その店はソウル江南清潭洞デザイナークラブの裏にある「蔚山鯨家」。東海まで行かなくても鯨肉を食べることができるため、この店にはソウルの「鯨肉好き」がたくさん訪れる。鯨肉は血中コレステロールの数値を下げるなど、健康食であることが知られ、政治家や事業家の「鯨肉ファン」も増えているという。

 特に、鯨肉は美容にも良いとの噂が広がり、常連客の中には女性タレントや歌手も多いとか。

 鯨肉は調理の方法や部位によって12種の違った味を楽しめる。

 この店では水煮、刺身、胸と腹の部分の肉を凍らせた「ウネ」、ユッケ、尻尾とひれを薄く切った「オベギ」、ひれの刺身など、さまざまな料理を味わうことができる。

 水煮はカタクチイワシの塩辛ソースにつけて、ニラのキムチと一緒に食べる。柔らかくて香ばしい食感が逸品だ。初めて鯨肉を食べるという人なら、ごま油と醤油のタレにつけると食べやすい。鯨肉好きたちは鯨肉ならではの味を楽しむため、塩だけをつけて食べる。「ウネ」の刺身は、一旦凍らせたものをお酢入りのコチュジャンかワサビにつけて食べる。「オベギ」は尻尾とひれを薄く切り、炒めたもので、お酢入りのコチュジャンをつけて食べる。コリコリとした歯ざわりが逸品。ユッケは千切りにした生の肉を、梨、ニンジン、ネギ、ニンニク、ごま油で和えたもので、牛肉で作ったユッケと同じような味わい。

 この店の鯨肉の特徴は、生臭さがほとんどないという点。秘訣は1頭1億ウォン(約1200万円)を超える新鮮なミンククジラだけを使っているからだ。鯨が網にかかったという知らせを聞くと、すぐに主人(料理研究家のキム・ジュヒさん)が買い付けに行く。キム社長は日本で鯨肉の調理法を学び、韓国風の味付けに変え、韓国人にも食べやすい鯨肉料理を作り出した。

 ソウルで唯一、鯨肉のコース料理を出している。水煮、「ウネ」の刺身、「オベギ」の酢の物、ユッケ、鍋を一度に味わうことのできるコースは30万ウォン(約3万6000円)=写真は5‐6人分=。一人当たり5‐6万ウォン(約6000‐7200円)程度でお腹いっぱい鯨肉を食べることができる。4人コース(20万ウォン=約2万4000円)、二人の場合はミニスペシャルコース(10万ウォン=1万2000円)もお勧め。一品料理はウネ(10万ウォン)、オベギ(10万ウォン)、水煮(7‐12万ウォン〈約8400‐1万4400円〉)、トゥルチギ(湯がいた鯨肉を薬味で味付けして食べる料理)、アワビ粥などがあり、ランチタイムにはスープ(7000ウォン=約840円)もお勧めだ。

キム・ヒョンウ記者
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