病魔と闘い演技への情熱燃やした故キム・ヨンイムさん

ミニホームページに母が綴った「最後の瞬間」


 昨年12月7日、若くしてこの世を去った女優のキム・ヨンイムさんは賢く愛情深い女性だった。

 女優なのにいつも質素な服装だった。端役からスタートしたが、演技に対する情熱は誰よりも熱かった。キム・ヨンイムさんは体が弱かった。2005年3月、ドラマ『不滅の李舜臣』(KBS第1テレビ系)に出演していた当時に行われたインタビューでも、神経系の不調に苦しんでいたことがあると告白していた。

 そのインタビューでは「01年夏にストレッチをしていたとき左脚を痛め、神経系の問題が生じたが、熱した“はり”を打つ治療を1年半ほど受けたところ、治った」と言っていた。「外科・神経外科・リハビリ科など、病院という病院はすべて行ってみたが、ヒザ下の感覚がなくなるほど症状がひどくなり、障害者認定を受けてもおかしくないほどだった」と、3年間の空白期間を振り返った。

 だが、たとえ病魔でもキム・ヨンイムさんの演技に対する情熱を止めることはできなかった。治療中も脚を引きずりながら複数のオーディションに参加、脚が治った04年春には人気を集めた演劇『白雪姫』で4代目の白雪姫に抜てきされた。

 当時すでにトップ女優だったソン・ヘギョの後を継ぎ、清酒「清河」のCMイメージキャラクターに起用されたキム・ヨンイムさんは、昨年初めにヒットした医療ドラマ『白い巨塔』(MBC系)にもキャスティングされ、数回出演した。ところが2月に乳がんのⅢ期と診断され女優活動を中断せざるを得なくなり、闘病の末、同年12月に27歳という若さで永眠した。

 キム・ヨンイムさんの携帯電話はスイッチが切られていた。ミニホームページには闘病日記が事細かに書かれおり、読む人々の胸を痛めた。他界した12月7日には、本人の代わりに母親が、彼女の最後の瞬間を綴った。

 「キム・ヨンイム、午後8時58分に天に召される。食事ができなくなって15日たち、水が飲めなくなってからもだいぶたった。午後からは座っている元気もない様子だった。母親に“神様だけを見ていてください”と言った後、しばらく横になり、ベッドに座って脚を下ろし、いすに足を乗せた。そして酸素マスクを2回ほど払いのけると、3回“うん…うん…うん…”と言い、後ろに体が倒れた。“ヨンイム! ヨンイム!”と呼びながら体を揺さぶっても、口を開けてみても固くてダメだった。あれほどかわいがっていたヨンイムは27年の人生を終え、神のもとへと旅だった」

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