ふっくら柔らか、「旬のカキ」はのどごしツルッ!


 仁川市南洞区九月洞「サンホ」に行くと驚くことがある。まず、調理場の前に並ぶ冷蔵庫にビックリ。上にガラスの引き戸がついていて中が透けて見える冷蔵庫は、さまざまな海産物でいっぱいだ。魚・貝・エビ・タコなど10種類以上の旬の海産物がきれいに下ごしらえされ、トレーの上にきちんと並んでいる。仕込みに対する姿勢やおかみの真心が一目で伝わってくる。毎朝、市場で仕入れた物を午前中いっぱいかけて下ごしらえするそうだ。見るだけでも食べてみたくなる。

 一番のオススメは「地元カキ花菜」(写真)だ。秋夕(中秋節)が過ぎ、10月初めから仁川市徳積島で採れる小ぶりのカキを直接仕入れ、漬けて日が経ったキムチやナシ、キュウリ、長ネギ、青のり、ゴマ塩を入れ、混ぜて食べる「刺身のあえ物」の一種だ。大きさは親指ほどで小ぶりだが、ふっくら丸々としていて、独特の風味のカキが酸味と辛味の利いたつゆとともにのどをスルスルと通っていく。その味と香りとのどごしは、ただ大きいだけの養殖カキには到底、まねできない。もたれた胃もスッキリ。はじめは食後の口直しに出していたのが話題を呼び、注文が増えたため、一番はじめに出す定番メニューになり、食欲をかき立てる看板メニューとなった。カキの旬が過ぎた後は、「ホヤ花菜」になる。

 年間通してのメニューはカニのしょう油漬け、マナガツオの煮付け、イシモチの煮付け、焼きイシモチだ。船主と契約しマナガツオは旬の4月に、イシモチは6月に1年分を仕入れ、水産協同組合の倉庫に冷凍保存する。小さく見劣りするイシモチでも、ダイコンとともに唐辛子粉をたっぷり入れて煮たり、焼いたりすればその味はまた格別。いろいろな旬の味が楽しめる海産物料理とほかのおかずがセットになった韓定食が2万ウォン(約2500円)。ランチなら1万5000ウォン(約1900円)から。焼き物・煮物・スープなどの一品料理が充実したつまみと酒のセットなら1人当たり3万ウォン(約3750円)。食事を楽しむ客とお酒を楽しむ客は半々だそうだが、左党にはうれしい店だ。

 1993年に九月洞の半地下の店にイスをいくつか置いただけで始めた店。しばらく同市延寿区に移っていたことはあったが、それ以外はずっと九月洞に店を構え続けている。京仁地方労働庁の裏通り。個室8部屋。中庭に10台駐車可。日曜日休業。(032)441‐1005~6。

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