【インタビュー】相次ぐ時代劇出演で大人気の子役、ユ・スンホ


 降ってはやむ雨の中、しばし日差しが差し込んだ瞬間、テーブルの上に飛んできたトンボが止まった。少年はトンボに近づき、親指と人差し指でそっと羽をつまんだが、トンボはふわりと飛び立ち、少年は頭をかいた。

 SBS『王と私』、MBC『太王四神記』と、二つ大型時代劇でそれぞれ成宗と広開土大王の子ども時代を演じ、スターダムに上がったユ・スンホ(14)。

 権力が渦巻くジャングルのような宮殿で、威厳を持ち果敢な様で臣下たちを圧倒する幼い成宗のカリスマは、素顔の彼には見当たらない。堂々としたブラウン管の中の風采と比べ、とても小柄に見える体格。思春期の中学生である彼は、あいさつの代わりに恥ずかしそうな笑顔を見せた。

 「ドラマのおかげでとても歴史の勉強になりました。広開土大王については、最近学校で受けた試験の範囲になっていて、とても役に立ちました」。ユ・スンホは「成宗は誠実で、自己管理が徹底した人物」と語った。

 「望まない結婚をしたために、冷徹でクールになった姿を演じることに集中しました」。一方、談徳(広開土大王)を演じるに当たっては、「人々が期待するのとは異なり、少し弱くソフトなイメージを前面に出した」という。同時に放送される時代劇に出演することになったのは、偶然の結果だ。事前制作の部分が多かった『太王四神記』は昨年5月から撮影がスタートしており、放送スケジュールが何度か延期になったことによって、『王と私』とオンエアが重なることになったのだ。

 最近ユ・スンホは、ワールドスターのチャン・ドンゴンやRainに劣らず、多くの人々の関心を集めている。数日間、彼の名前は引き続きさまざまなポータルサイトで人気検索ワード1位を占めていた。彼は「自分がスターだと思ったことは一度もない。ただ、苦労して撮影したシーンを見て、周りの大人たちが『上手に演じた』とほめてくださる時、胸がいっぱいになるだけ」と話した。「眼差しがソ・ジソブに似ている」という話を出すと、彼は深く頭を下げた。「その話はやめていただければと思います。僕がそういう噂を流していると言う人たちがいるので…」


 身長168センチ、体重45キロ。「もう少し体を鍛えたほうが良いのでは」と言うと、「今から運動して筋肉をつけると背が伸びない、とお兄ちゃん(マネージャー)が言うのです。高1になったら運動を始めます」と答えた。ユ・スンホは10才のとき、映画『おばあちゃんの家』でスターになった。「田舎に行って、仲間たちと遊ぶのがすごく良かった。学校に行かなくてもOKだったし、毎日がとても楽しかった」と語った。「演技というものに対する概念が、全くなかったのです。当時、僕が上手に演じなきゃと思っていたら、あの映画はできなかったかもしれません」。共演したキム・ウルブンおばあさんに対する切ない思い出も語った。「泊まるところが用意されていたのですが、ほとんどおばあさんの家で一緒に生活していました。トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモをいっぱい積み上げて食べながら、おばあさんがつかまえてくれた珍しい昆虫と遊びました」

 子犬とともに主演したた映画『マウミ…』(2006年)は、彼が代表作として挙げる作品だ。「子犬が大好きなんです。家でも僕がうんちやおしっこの掃除をし、しつけもさせるという条件で2匹飼っていました。最近も子犬1匹を連れて撮影に通いたいのですが、お兄ちゃん(マネージャー)が、“君一人だけでも手に余るのに”って言うから…」。『マウミ…』では、まだまだあどけない子どもを演じていたユ・スンホだが、1年で背が7センチも伸び、『王と私』では堂々とした成宗へと変身した。

 「試験だけは欠席せずにきちんと受ける」という彼の成績はどうか。「悪くありません。一番良かったときは、クラスで14番でした。クラスメイトたちも僕の状況を知っているので、よく助けてくれるんです」。だが、彼の位置を妬む「イジワルなグループ」も少なからずいるようだ。「正直に言えば、学校に行くと僕に嫌がらせをする人もいます。『たいしたことないのに、どうしてテレビに出ているんだ』というのはよくあることで、もっとひどい悪口を言う人もいます。何気なく投げかける言葉かもしれませんが、僕にとっては大きな心の傷になります。最初は(そういった言葉を口にするのは)3年生の先輩たちだったのですが、最近では1年生からも言われるので…」

 将来の夢について尋ねると、しばらく暗い表情を見せていた彼が、すぐに明るい顔に戻った。「夢は、1つ。俳優になることです」と答え、「今この時期にいろいろな役を演じてこそ、大人になってから子役出身という固まったイメージから脱皮することができる」と話し、唇をかみ締めた。

チェ・スンヒョン記者
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