「性の壁」超越した2人の主人公が語るそれぞれの思い(下)

◆元気いっぱいの少女→男装の麗人に変身したユン・ウネ


 「男性のかすれ声を出そうと思ってカラオケで熱唱…同性愛? そんなこと考えたこともありません。私はやっぱり女ですから」

 ユン・ウネを見て解散した女性アイドルグループBABY VOXを思い浮かべる人は、今はもういないだろう。『宮』『ぶどう畑、その男』に続き3本目のドラマMBC『コーヒープリンス1号店』で「男装の麗人」であるヒロインに変身、人気を呼んでいることから、彼女は今や立派な人気女優に成長したと言えよう。長身でスリムな「お姉さんたち」に挟まれ、かわいい「末っ子」的なキャラのメンバーだった歌手ユン・ウネが女優として成功したのは、異色の役柄に対する意欲のおかげだ。

 「珍しいとか、あまり馴染みのない役柄のほうに関心があります。もちろん、うまくできるという自信のほうが優先ですが。『コーヒープリンス1号店』はもちろん、『宮』『ぶどう畑、その男』で演じたヒロインも、ありふれたタイプではなかったでしょう? 後悔しないように一生懸命頑張っています」

 ユン・ウネが演じる同ドラマのヒロイン、コ・ウンチャンを「男」と見るのは少し難しい。視聴者は片目をつぶり、彼女の男装を楽しんでいる。彼女が男性の行動を真剣に研究し、体で表現しているということが分かるからだ。肩を揺らしたり、アゴを上げたりする仕草は一品。彼女はわざとかすれた声を出すため、カラオケで絶叫したという。彼女は「ドラマの配役が決まってから、男性の行動や話し方を注意深く観察し、家で真似しました。やはり、だらしなさそうな男性をまねるのが、テレビ画面で男性的に見せるのに効果がありました」と教えてくれた。「撮影現場のスタッフたちは私を男優扱いしていますよ」

 今はまだウンチャンが女性ということに気付いていないが、恋愛感情を持っているハンギョル(コン・ユ)。このドラマは隠れた形ではあるが、挑発的な手法で同性愛を描いている。しかしユン・ウネは「ハンギョルとウンチャンが抱き合いキスをするシーンを撮影したら、同性愛とは感じなかった」と言う。「その瞬間、私は女性のコ・ウンチャンだったんです。周りの人は“ビックリした”“衝撃的だった”と話していましたが、私はそうではありませんでした。

ユン・ウネもコ・ウンチャンも、結局は女ですから」

チェ・スンヒョン記者
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