「癒し派ピアニスト」倉本裕基さんに聞く(下)


―話が戻りますが、なぜ今、このアルバムを作ろうと思ったのですか?

 「うーん…今かな、と思ったんですよね。自分について間違った伝えられ方をした時期もありましたが、単純に考えて、自分の音楽が韓国で愛され、使ってもらった結果、日本でも同じように愛され、聞きたいと言ってくれる人が大勢いた。これは作るべきではないかと」

 独自の世界観、音楽スタイルにこだわり活動している倉本氏。日本で、韓流の倉本裕基、といったふうに誤って知られることが多くなりあえて韓流のCDとは距離を置いていたが、それを忌避していたわけではないという。結果として、自分を広く知ってもらうきっかけになったことを否定はしない。わたしが倉本氏の押しつけのない音が好きだと言うと、笑顔を見せてくれた。

 「きっかけは何であれ、倉本のピアノを聞いて、好きになってもらえればそれでいいんです。音楽家には、自己主張の強い、自分を見せ付けてやる、といったタイプの方が多いです。それはそれでよいのですが、自分の考えは少し違って、聞き手にとって心地よく、楽しんでもらえる音楽を作り、演奏をしたいのです」

 そんな「癒し派ピアニスト」倉本裕基の韓流カバー・アルバム「ユア・フェイバリット・ソング」には、『冬のソナタ』の「マイ・メモリー」「初めて」や『春のワルツ』の「いとしのクレメンタイン」など全13曲を収録。倉本氏の優しさと暖かさがあふれるCDに仕上がっている。

 また、日本でのコンサートが11月22日に東京オペラシティコンサートホール、11月30日にNHK大阪ホールにて開催される。ドラマの中の隠れたスパイスとしてしか知らなかった倉本氏の世界をコンサートホールでめいっぱい体感し、癒されてみたい。

東京=野崎友子通信員

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