22日、待望の韓流カバー・アルバム「ユア・フェイバリット・ソング」を発売する倉本裕基。これまで封印してきた「韓流」にあえて挑んだ経緯と思いを聞いた。
韓国ではその名を知らない人がいないと言われるほど人気のイージー・リスニング・ピアノの巨匠、倉本裕基。しかし、日本で倉本氏の名が広く知られるようになったのは、「韓流」ブームによってだった。韓国ドラマや映画で彼のオリジナル曲が多数使われ、「韓流」ブームとともに逆輸入的に日本でも人気が高まった。
―「ユア~」というタイトルを付けられたのは?
「以前にマイ・フェイバリット・ソングというCDを作っていまして…今回は自分ではなく、皆さんが聞きたい、という曲を選択したという意味合いがあって、そういうタイトルにしました。が、作っていくと結果的にはマイ・フェイバリットになりましたが(笑)」
―四季シリーズの曲が多いようですが、選曲はどうやって?
「自分がこれまでに直接かかわった方、親交のある方の曲で、なおかつ皆さんの要望が多い曲、つまりよく知られ、愛されている曲、ということで、結果この選曲になりました。やはり知っている人にかかわる曲となると責任感をより感じ、力が入りました」
―韓流関係の仕事に携わることになったきっかけは?
「もともと、文化開放が始まった直後、1998年に韓国サイドからCDのお話をいただいて出しました。同時期に同じように、著名な方も含めいろいろな方が進出をされましたが、なぜかわたしの音楽が韓国で好まれたようです。自分で言うのも何ですが、驚くほど売れました。わたしの音楽が多くのドラマの制作関係者にも好まれたのか、わたしは知らなかったのですが、曲がいろいろなドラマなどで使われ始めたようです」
―それでは、自身が希望したり、積極的にかかわって始めた仕事ではなかった?
「そうです。韓国で活動を始めても、ドラマなどはほとんど見たことがなかったんです。とにかく忙しく、正直なところ今でもほとんど…(笑)。ただ、最近は監督さんや俳優の方々とお会いすることも多く、たとえばイ・ヨンエさんに『倉本さんのファンで、楽譜を買って練習しています』と言われ、その後急いで『宮廷女官チャングムの誓い』を見たり…ぺ・ヨンジュンさんもあるインタビューで自分のファンだと言ってくださったのを知り『冬のソナタ』も見ました。しかし、そんな程度で…自分はあくまで音楽家で、ドラマの制作に携わる身ではなく、そのために曲を作ったことはないんです」
東京=野崎友子通信員