「久しぶりに再会した昔の恋人の前に立っているような気持ちです。“ちょっと変わったね”と言われたい気持ちもあるんですが、それと同時に変わっていないところも見せたいような」
仕事に対する情熱は以前と同じだった。女優シン・ウンギョン(34)が8年ぶりにテレビドラマに戻ってきた。
SBSの週末ドラマ『不良カップル』に出演している彼女の役は雑誌編集長「キム・タンジャ」。結婚はしたくないが子供は欲しい30代の独身女性だ。
作品に出演するたびケガをする「タフな」役を演じてきた彼女らしく、今回も水に入り長さ2メートルの大蛇と格闘するシーンをこなした。その甲斐あってか、スタート2週目で視聴率は10%台で安定している。
「今回も体当たりで演じているね」と声をかけると、シン・ウンギョンは大きな声で笑った。「その通りです。私は作品に出演するたび何かをやらかします。映画『花嫁はギャングスター』の時は失明の危機に直面しました。今回はかなり大胆に脱ぐシーンも…」そう、ドラマ初盤でシン・ウンギョンが大胆に脱ぐシーンがあり、話題になった。2歳の息子を持つママさん女優だけに、プレッシャーを感じて当然だ。「お酒もやめ、食事も徹底的にコントロールしました。“オバサンになった”と言われるのではないかと心配で、プロポーションのケアにも必死でした。これまで以上に“女”シン・ウンギョンをお見せしたかったんです」
1990年代末に「X世代」と呼ばれ、ニュージェネレーションのシンボルになった彼女。ショートヘアに鋭い目、汗を流しながら乱れた息を整える「女戦士」のイメージで人気が出たが、実は心の中ではいつも息苦しさを感じていた。「常に私のある一面だけを見せていなければならなかったからです。私にも繊細で敏感な感性があるのに、それを演技でお見せするチャンスはほとんどありませんでした」
『不良カップル』に出演を決めたのも、こうした理由からだ。ヒロインの「タンジャ」の中に悩みも胸の痛みも多く抱える、現代女性の姿を見出した。「今はタンジャの強い面だけが出ていますが、ストーリー展開が視聴者の予想とはまったく違ってくる可能性もあります。タンジャは誰も知らない秘密を抱えているんです」
仕事では成功している雑誌編集長で、ファッションリーダーでもあるタンジャを演じるため、シン・ウンギョンは米国の人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティー』を研究したそうだ。ドラマでシン・ウンギョンはショートパンツ、派手なワンピース、端正なスーツなど、毎回違うコンセプトの衣装で、七変化のようにイメージを変えている。第7話からはパーマのかかったロングヘアをばっさりとショートにする予定だ。
ウブな植物学者「チェ・ギチャン」を演じる相手役のリュ・スヨン(28)との息もピッタリだ。同ドラマ公式サイトの視聴者掲示板には「意外に二人がよく似合っていてビックリした」といった称賛の言葉が相次いでいる。シン・ウンギョンは「リュ・スヨンさんはお兄さんのように積極的にリードしてくれるかと思えば、オバサンのようにおしゃべりすることもあるフランクな性格なので、共演していて楽しい」と話している。
韓国のドラマではストーリー初盤に強いヒロインであればあるほど、ラストになよなよと男の前で崩れてしまうケースが多い。『不良カップル』のタンジャはどうなるのだろうか。シン・ウンギョンは「ドラマの結末は視聴者の希望により変わることが多いから、タンジャが強い女性のまま終わるのか、弱い女性になってしまうのかは、結局皆さんのご希望次第」と意味深に答えた。そしてすぐにニコニコしてこう言った。
「ラストまで“魅力的なタンジャ”でいられるよう、応援してくださいますよね?」