「あ、彼が来たぞ!」
30日午後3時20分ごろ、ソウル市新村にある延世大学新千年館の大講堂がざわめいた。200席ある座席は満席状態。席を確保できなかった学生は講壇の前や階段に座り込んでいた。大講堂の後方のドアが開き、グレーのパンツ、白い半袖シャツに黒いベストを着た今日の主役が登場。かつては「人気シンガー」、現在は「JYPエンターテインメント代表」として活躍しているパク・ジニョン(35)だ。彼が講壇に向かい歩いていく間、あちこちでフラッシュがたかれた。
パク・ジニョンを「CEO JY Park」と紹介した司会者が「延世大学の卒業生でもあります!」と叫ぶと、拍手と歓声が湧き上がった。
この講義は、延世大学のアンダーウッド国際学部(UIC)が「UICグローバルフォーラム」という特別講義の3人目の講師としてパク・ジニョンを招き、開いたもの。今年2月にアジアのレーベルとして初めて米国法人「JYP USA」を設立、RainやKHUN(パク・ジニョンが発掘したタイ系歌手で、現在タイで活動中)を育てたパク・ジニョンに「グローバル時代で成功する方法」を語ってもらおうという場だ。パク・ジニョンは流暢な英語で講義を始めた。
「私の経験が役立てばうれしい」と切り出したパク・ジニョンは、まず聴衆に質問を投げかけた。
「韓国のように小さな国が文化輸出に成功したのはすごいことです。だが、それで終わってしまってはいけません。次は何をすべきでしょうか?」
彼は「これまで韓流は“韓国発の文化という商品の一方的な輸出”だった」と語り、「韓国から来た歌手が韓国人が作った曲だけを歌い、韓国だけを叫び続ければ、外国人にずっと好感を持ってもらえるでしょうか。商品に国旗をつけて売るのは賢明ではありません。近い将来、韓流はこれ以上通用しなくなるでしょう」と韓流を捨てる覚悟をしなければならないことを強調した。
そして「音楽・ドラマ・映画といったあらゆる商品の主流をなしているのは米国。アジアのトップになりたければ、米国で成功しなければなりません。そうすればアジア各国から尊敬されるようになる」とも述べた。
パク・ジニョンが「韓国は“国家主義”がとても強い」と国旗にビシッと敬礼する様子を真似てみせると、学生たちは大爆笑した。
パク・ジニョンは30分の講義を終えた後、15分ほど学生たちの質問に答えた。UIC1年生のオ・イェスルさん(20・女性)は「やさしい言葉で話しながらも、核心を突いていた」と感心していた。ウルグアイからの留学生、クリストバル・ゴンザレスさん(22)は「彼のことはよく知らなかったが、韓国文化について考え直すきっかけになった」と語った。
講義後、記者のインタビューに応じたパク・ジニョンは「“韓国を前面に押し出すな”という話をすると、売国奴呼ばわりする人もいる。だが、外国人と交流しながら共に働くことができなければ、どの国にも受け入れられず、打ち解けることもできない」と語った。また「韓国の大学生が国際化を望んでいるなら、外国語は基本で、外国人と組んで何かを成し遂げることも学ぶべきだ」とアドバイスした。