韓国に押し寄せる「日流ブーム」(上)

韓国大衆文化の危機!?

 大河ドラマで有名な40代の人気脚本家A氏。最近、日本の人気漫画『MONSTER』(作・浦沢直樹)をドラマにしたいと思い立ち、版権獲得に乗り出したがすぐにあきらめた。人気ドラマ制作会社が一足先に『MONSTER』の版権を獲得したと聞いたからだ。A 氏は親しいドラマプロデューサーの家に遊びに行き、また驚いた。そのプロデューサーも自宅に『MONSTER』のコミックを山積みにし、作品の構想を一生懸命練っていたのだ。

 昨年末公開され、観客660万人を動員した映画『美女はつらいの』(韓国映画歴代興行成績8位)や、「チャン・ジュンヒョク・シンドローム」を巻き起こしたMBCドラマ『白い巨塔』など、日本の作品を原作にした大衆文化(ポップカルチャー)コンテンツが相次いで大ヒットしている。「大衆文化界が日本の原作ブームに巻き込まれ、韓国大衆文化のDNAを支配してしまうのでは」と懸念の声も出ている。

◆日本作品を原作にすればヒット間違いなし?

 SBS は日本の小説を原作にしたドラマ『恋人よ』を今月30日から毎週金曜日夜に放映する。ユ・オソン、ユンソナ主演の同ドラマは、日本人小説家・野沢尚氏の作品が原作だ。野沢氏は昨年SBSが放映し、20‐30代の熱心な視聴者から高く支持されたドラマ『恋愛時代』の原作小説も書いている。

 韓国のドラマ制作会社も日本作品の版権争いに加わった。金鐘学プロダクションとJSピクチャーズは各3編の日本の小説・マンガの版権を獲得、ドラマ制作に乗り出す。JSピクチャーズのイ・ジンソク代表は「昨年末から日本の小説やマンガを集中的に検討し始めた」と話す。映画界はもっと早くから目をつけていた。2002年から05年まで、年によっては全くなかったり、1・2本にすぎなかったりした日本の作品を原作にする映画が、06年には3本以上に増え、 07年には1本(『覆面ダルホ』)が公開済み、現在『黒い家』『正しく生きよう』など7本以上が企画・制作段階にある。

 日本の原作版権の価格もウナギ上りだ。現在、版権の価格は作者の知名度や作品完成度により、小説で1作品3000万‐1億ウォン(約380万‐1260万円)、マンガは1作品1000万‐7000万ウォン(約126万‐880万円)台。関係者は「05年末に比べて2倍近くに上がった」と言う。金鐘学プロダクションのパク・チャンシク取締役は「02年なら交渉さえうまくいけば500万ウォン(約63万円)も掛からずに日本のいい作品を確保できた。放送局や制作会社がいくつかの可能性ある作品に一斉に飛び付き、価格が急上昇してしまった」と話す。

チェ・スンヒョン記者
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