コメディー映画の王、チャ・スンウォンが華やかにカムバックした。映画『里長と郡守』(チャン・ギュソン監督、サイダースFNH制作)の公開を間近に控えているチャ・スンウォンの隣りにはチャン・ギュソン監督とユ・ヘジンという強い味方がついている。「300人のスパルタ戦士とコメディー王チャ・スンウォン」を止めることはできそうにない。映画の強力なオーラがグイグイと迫ってくる。
田舎の独身男で里長を務めるチョ・チュンサム(チャ・スンウォン)と郡守のノ・デギュ(ユ・ヘジン)は20年来の悪友。小学校時代、いつも副班長だったノ・デギュは、いつも班長だったチョ・チュンサムに微かな恨みを抱いている。しかし成長して再会したとき、チョ・チュンサムは里長、ノ・デギュはそれよりひとつ格が上の郡首だった…2人の再会はこのように始まった。
大したことのない問題でもプライドをかけた争いにまで発展し、2人の関係はどんどん悪化する。結局、ノ・デギュの放射性廃棄物処理場誘致事業の邪魔をするため、チョ・チュンサムが反対デモの先頭に立ち、2人の関係は最悪の状態になる。
チャ・スンウォンとユ・ヘジンのコメディー演技対決は映画の初めから終わりまで観客を笑わせ続ける。しかし映画の半ばから放射性廃棄物処理場、公務員官僚組織、既得権との闘いなどの要素が加わり、政治的な問題が映画のおかしさに歯止めをかけようとするが、チャ・スンウォンという俳優がすべての深刻さを吹き飛ばしている。
だからといってチャ・スンウォンとユ・ヘジンがコメディー専門の俳優と思ったら大きな間違いだ。同作で見せる真剣な演技は観客の涙腺すら刺激する。映画『国境の南』のチャ・スンウォンの演技を見たことのない観客ならば、チャ・スンウォンの真剣な演技に驚くかもしれない。ユ・ヘジンも理想を持った政治家の役を慎重に消化している。
観客はきっと2回泣かされるはずだ。1回はチャ・スンウォンのトイレでの演技に泣き笑い、もう1回はチャ・スンウォンとユ・ヘジンの友情に感動の涙を流すだろう。チャン・ギュソン監督の得意技が十分に発揮された「笑いの中に涙のある映画」だ。残念なのは映画の中盤以降のストーリー展開が多少退屈であるという点。しかし映画自体は十分に楽しめる。同作は来週木曜日(29日)に公開される。