帰ってきたドッキリカメラ、不快な演出に視聴者反発


 約10年前の「ドッキリカメラ」は人を騙して楽しむという“悪事”の中にも新鮮なおもしろさが生きていた。テレビ以外では目にすることのない芸能人の意外な素顔が赤裸々に明かされる時、視聴者はそれを大いに楽しんだ。

 イベントの出演料として受け取ったギャラをトイレでそっと数えたり、シャワールームで洗っても洗っても出てくるシャンプーの泡に慌てる芸能人の姿などは「芸能人も同じ人間なんだ」と実感させるおもしろさがあった。芸能人は芸能人なりに、視聴者は視聴者なりに損得なしの絶妙な「合意」がカメラの中に収められていたものだ。

 そして2007年。ドッキリカメラが約10年ぶりにカムバックしてから1年が過ぎた。しかし最近のドッキリカメラは視聴者に笑いよりも不快な後味を残すことが多くなった。

 借金を返さない後輩に腹を立て、水をかけ、おしぼりを投げつける先輩。そんな先輩の胸ぐらをつかんで投げ飛ばす後輩…。4日に放送されたMBCのバラエティー番組『日曜日日曜日の夜に』のドッキリカメラは「チンピラたちの泥沼の争い」といった演出だった。演出であるということを知りながらも、後輩の先輩に対する暴力や荒々しい戦いぶりに視聴者は眉をしかめた。このコーナーは先週、父(テジナ)が息子(ERU)をだます内容を放送する際、高級個室バーを連想させる江南の某バーを背景に、歌手キム・ジョンフンがウエイターを見下すような言葉づかいをしたという点などが問題になっている。

 最近、同番組ホームページの掲示板には「ドッキリカメラ廃止の署名運動をしよう」という書き込みがあったほか、「視聴者のことは眼中にない」「地上波放送で到底扱うべきでない内容」などの批判が相次いでいる。

 制作陣がこのような無理な演出をする気持ちも分からないではない。芸能人のプライベートな日常はインターネット上で広がる各種の動画や写真、ブログ、ミニホームページなどで簡単に大衆に広がる世の中になった。芸能人は急増した媒体を通じて、自分の涙や恥部を積極的に公開している。このような世の中でドッキリカメラが伝えることのできる「転覆」の力は微々たるものだ。ドッキリカメラは「復古」ではなく、「流行遅れ」のあいまいなフォーマットを維持するため、最低限の品位まで捨てるしかないようだ。

チェ・スンヒョン記者
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