伝統の趣を残したまま、現代的な感覚と機能を持つ韓屋が増えている。今のところは飲食店など商業的な空間がメインだが、徐々に住宅、ギャラリー、事務所にまでその範囲が広がっている。このような韓屋はやはり韓屋密集地域のソウル北村に最も多いが、恵化洞ロータリー近くに韓屋の洞事務所(区役所)が誕生したかと思えば、景福宮の西側には新しい感覚の韓屋も増えている。素敵な韓屋の見学も兼ねてゆっくりと散歩してみるのはいかがだろうか?この一帯を散歩するコースはたくさんあるが、「NEW韓屋」を見学するのが目的ならば、司諫洞の美術館通りの入り口、景福宮の横の東十字閣から歩き始めよう。この一帯特有の狭い道に漂う情緒、ドラマチックなソウルの美しい景色もたっぷり味わえるだろう。
<トゥガホン>
韓屋と西洋の雰囲気をミックスした代表的な例。「ギャラリー現代」の奥にあり、北村のほかの建物に比べ比較的歴史が長い。お洒落な韓屋(ワインバー)と20世紀初めの西洋式の石造りの家(ギャラリー)が向かい合っている。時間の深みが与える印象は新しいものに勝るという貴重な事実に気付かせてくれる格調高い場所だ。
ワインバー兼レストラン02-3210-2100、毎週日曜日休業
<司諫洞韓屋の裏道>
ポーランド大使館(旧フランス文化院)からさらに奥に進むと、北村特有のクネクネした裏道に出る。
ここにはあまり知られていないが、かなり以前からインテリアスタジオなどの事務室に使用されている韓屋がある。歩いていると行き止まりのように見えるが、すべてつながっているので心配しなくてもだいじょうぶ。
<尹潽善古家>
北村で最も大きく保存状態の良い韓屋のひとつ。中国と西洋の影響を受けた独特な韓屋。建物も建物だが、韓国の近現代史の重要な人物が集まった場所としても有名だ。室内の一部区域はかなり現代的な雰囲気にリモデルした。尹潽善氏(第4代大統領)の子孫が現在も暮らしている。行事などに使用されることもあるが、普段は一般には公開されていない。現在、この邸宅の周辺にはギャラリーが次々誕生している。
管理事務所02-732-7655
医療施設と韓屋の結合という新たな可能性を実現した場所。2件の韓屋をつなげ、歯医者を開院した。数多くの人々が見学を兼ねて訪問するが、いつも親切に迎えてくれる。歯医者の左の道を喜会洞1番地の団地に向かって上っていくと、右側に階段につながる裏通りがあるが、ここには春になると住民が自ら進んで小さな植木鉢を並べる。町全体に優しい雰囲気が漂っている。
02-765-7528
<喜会洞31番地一帯>
北村全体の中で最も有名な地域のひとつ。喜会洞1番地の団地から1人がやっと通れるほどの道を通り過ぎると、たくさんの韓屋の瓦ぶきの屋根がひしめき合う光景が目に入る。ただし、個人の家なので中に入ることはできない。
この道の頂上から見下ろすソウル市内の景色は逸品だ。南山とその前に広がるソウル市内、そして北村の韓屋が一目で見渡せる。
<旅行者のための空間「縁」>
喜会洞から三清洞に向かう道には北岳山と仁王山一帯のそう快な展望が一目で見渡せる。特に三清洞の丘からはソウルの旧都心がパノラマのように見渡せる。
この道からすこし外れた道に独特な韓屋カフェ「縁」がある。一般に公開しているが、建築作品でもある。25坪前後の規模で決して広くはないが、極めて珍しい空間的体験ができるだろう。
02-734-3009
<ロマネ・コンティ>
韓屋を現代的な商業空間に活用するトレンドについて説明するとき、最も代表的な例として挙げられるのはワインレストランだ。ここに向かう道には「石階段の道」という名前がついているが、よく見てみると岩を削って作られた階段だ。クネクネ曲がる細い階段を下りていくのは楽しい。
<建築家ソ・スンモ氏のスタジオ>
「韓屋ワンルーム」(当初は外国人夫婦にレンタルするために建てた)といえるようなこの小さな韓屋で、建築家のソ・スンモ氏は一気に注目を浴びるようになった。内部を開放的に処理し、庭と室内を同じ高さにするなど、韓屋でありながらまったく新しい印象を与える。運が良ければ門から中が見えることもある。