イ・ビョンホン、60歳代演技について熱く語る


 18日午前、東京・渋谷のセルリアンタワー東急ホテルにてイ・ビョンホンの最新映画『夏物語』の記者会見が行われた。

 会見には、主役のイ・ビョンホン、相手役のスエとチョ・グンシク監督が出席。会見場には400人近い報道陣がつめかけ、イ・ビョンホンへの関心の高さが改めて証明されたといえる。

 イ・ビョンホンは、会見で『夏物語』で60年代という時代性、そして20歳代から60歳代までを演じて経験した難しさなどを饒舌に、熱く語った。

 「60年代、ということについてはさほど苦にならなかった。自分の時代ではないが、子供のころには60年代の残像があった。当時は理念、イデオロギーの対立などがあり、誤った思想教育も残っていた。しかし今の時代より純情、美しい愛というものが強かったような気がする。また今より激しい感情があったように思うが、人間の基本的な感情というものはいつの時代も変わらないのではないかと思い、演じた」

 「20歳代は自分が経験した歳であり、さほど難しくはなかった。自分の20歳代前半は、情熱で満ちていた。そしてさまざまな刺激、物事に対して、大きく、即座に反応した。一方、60歳代はというと、自分が未経験のものであり、その年代の人が持つ感情をどのように表現すればいいのか、どういう刺激に、どのような反応を示すのかと考えた。想像ではあるが、その歳の人は人生経験によって、若い人よりもゆったりとおおらかで、落ち着いた反応を見せるのではと思い、そのように演じてみた」


 また、この映画は初恋を描いているが、自身の初恋の思い出は、との問いに「もちろん、初恋の思い出はあるが、心の中に大切にしまっておきたいので、ここでは語ることはできない」とした。

 一方、同じ質問にスエは「実は、初恋の人が、イ・ビョンホンさんに似ていた。そのため映画ではすんなり感情移入ができた」と答えた。

 また、イ・ビョンホンがスエを相手役に推薦したことは知られているが、シナリオを読んで、それまで一緒に仕事をしたことがなかったにもかかわらず、すぐスエさんが思い浮かんだ、と改めて語った。それに対してスエは「実は学生のころから、イ・ビョンホンさんのドラマなどを見ていてファンだった。それが共演でき、しかもラブストーリーの相手ということでとても光栄に思った。実際に共演してみて、それまでのステキなイメージに違わぬやさしさ、暖かさにあふれた人で、本当に女性に愛される資格のある人だと再確認した」と賞賛の言葉を述べた。

 また、撮影時の楽しいエピソードは、との問いにイ・ビョンホンは「私と監督の誕生日が同じなのだが、ロケ中に誕生日があって、スエさんがサプライズパーティーを開いてくれたのに驚きうれしかった。その際、プレゼントとして、スタッフ全員が言葉を書いてくれたノートをくれたのに感動した。それがあまりにもうれしかったので、その後スエさんの誕生日があった時、自分も同様にした」とした。

 一方スエは「真夏のロケでとにかく暑く日差しが強かったため、イ・ビョンホンさんが黒く日焼けしてしまったのがおかしかった。都会から来た人の話で、わたしが田舎の人でわたしの方が黒くなければおかしかったんですが」と当時を思い出したように笑った。
最後に、チョ監督は映画のみどころを問われ、「この映画の魅力は二人の俳優の美しさと悲しさ」と述べた。「外見はもちろん美しい二人だが、そういうことではなく彼らの表現したすべてが美しく、悲しい。必ず見る人の琴線に触れるだろう」と締めくくった。

東京=野崎友子通信員

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