1人5万ウォン(約6000円)で本格フランス料理をコースで食べられる店がある。それは京畿道一山の地下鉄ペクサン駅近くの「プラ・ド・ジュール」(今日の料理の意)。この店と同じ水準の料理とサービスをソウルの江南で味わおうとするならば、軽く3倍はかかると思ってよいだろう。
3カ月前にオープンしたこの店の代表メニューは3種類のワインを含め、計15品で構成されたコース料理。料理の数だけ評価するのは安易だが、食材の質と味が加われば話が違ってくる。
食前酒として出てくる爽やかなワインが食欲をそそる。メシマコブの粉のかかったスープの後は、シーフードとよく合うホワイトワインが運ばれてくる。
この後はタイラギのカンザスステーキ、シャーベットのように凍らせたサーモン巻き、ホワイトワインに漬け込み、ブドウの種の油で揚げた大エビに続き、舌平目のソテー、柚子のソースがかかったキノコのソテーが顧客の食べるペースに合わせ出てくる。新しい料理が出てくる度にナイフとフォークが交換されるのも嬉しい。
次に出てくるチリ産のレッドワインはこの先の料理が肉料理であることを予告する。フォアグラを添えたヒレステーキ、梨の汁に漬け込んだエスカルゴ、そして最後に小さな陶磁器の容器に入ったチーズを加熱して食べるチーズフォンデュが出てくる。
デザートは抹茶のかかったヨーグルト、ブルーベリーとラズベリーをブドウジュースに入れ、ゼラチンで固めた木苺のテリーヌ、そして可愛いポットに入ったローズマリーのお茶。
このコースをすべて食べ終わるまでにかかる時間は2時間30分。料理はすべて一流でウエイターも親切。予約の時間を3度も変更したにもかかわらず、むしろこちらのスケジュールを心配してくれたほど(もちろん、取材だということは知らせていない)。新しい料理が出てくる度に、どんな材料を使ってどんな風に調理したのかも説明してくれる。
店内のインテリアは豪華ではないが居心地がよい。新しく建てられた住宅商業複合ビルの1階だが、長く住んだ家のような気楽さがある。
30代の若い社長と2人のシェフが運営しているこの店は、フランス料理は余裕のある人だけが食べるという固定観念をなくすため、大損覚悟で先着順1000人に5万ウォンでコース料理を食べさせると宣伝したという。社長は「このまま行けば、1月中旬ごろには1000人を超える見込み。そのときからは18%の利潤が残る6万ウォンに値上げする予定」と話した。
もちろん、この値段もフランス料理としては想像もできぬ程安い値段ではあるが…。テーブルは5つしかないため、予約は必須。午後12時から午後10時まで営業。秋夕(チュソク、韓国の旧盆)と旧正月は休み。(031)905-8320。