映画『中天』のアクション場面に対する模倣疑惑は、インターネット上で最初に提起された。プレイステーション2「真・三国無双4」のオープニングと非常に似ているというのだ。
これに対し、大衆文化評論家のイ・ムンウォンさんは「模倣というには無理がある」と指摘した。
イさんは「本来、“演出模倣”そのものが成立しにくい。演出模倣が成立するには、アングルが一致し“カット・バイ・カット”で編集・構成まで同じでなければならない。流れが同じでも一つの場面を数秒早く、あるいは遅くカットするだけで印象が大きく変わる。『中天』では大きな一致がそれほど多くはない」と説明した。にもかかわらず模倣問題が浮上した理由について、イさんは「設定の類似性によるもの」と説明した。
1人対数万の兵士が対峙するシーンでは、登場するカットのほとんどが似てくるというのだ。巨大な兵力を前にした武士の毅然とした姿、襲いかかる大軍、駆け込んでくる兵士1人の姿、上からこれを見下ろす俯瞰(ふかん)、クローズアップされたゲリラ性戦闘場面、全体を眺望するマスターショット、これを見守る大軍の大将など、限定されたカットをあちこち配置すれば類似した場面が登場するのは無理もないということだ。
ただし「スーパーヒーローの戦闘場面での決まり文句を全面的に適用したのは、どこか誠実さに欠ける態度」と指摘した。「使い古された設定に個性のない演出スタイルでは、よく似た展開にならざるを得ない」というのだ。
ところで、制作社側の模倣疑惑への対応がいただけない。制作社はインターネットの芸能ニュース社を通じ、「韓国の技術者たちの功労を傷つけるもの」と主張した。
しかし技術力と演出の創造性は別の問題だ。『中天』のコンピューターグラフィック技術の進歩にはケチのつけようがない。ところが、技術力を基礎に作られた場面が決まり文句ばかりという点が問題だ。演出が類似しているとの疑惑から目をそらさせ、愛国心に訴えて批判を避け、さらに模倣疑惑を「暴露合戦」として問題を混沌とさせようとする意図が見え隠れする。その上暴露された内容が虚偽だったという事実は、より大きな問題だ。
『中天』側は先のインターネット芸能ニュース社に対し、国内唯一の民間ニュース通信社であるニューシス(NEWSIS)が「出演者へのインタビューでトラブルが起きてから、悪意のある内容を掲載した」と虚偽の発言をしている。
ニューシスは『中天』に出演する俳優へのインタビューを公式に要請したことはない。逆に、インタビューを準備しているという映画宣伝代行業者の提案を拒否したほどだ。この種のインタビューは映画の間接宣伝が半分を占め、残りも軽いコメントばかりで報道する価値があまりないからだ。
20日に封切られた『中天』は、現在のところ非常に苦戦している。