米の名産地で食べる「韓国最高のご飯」の味は?


 ◆利川米食堂「コミ亭」の青磁定食

 日常茶飯事という言葉もあるが、韓国人にとって白米のように身近な食べ物はないだろう。しかし食べた直後、涙が出るほど美味しい「ご飯」に出会うことは滅多にない。良質の米にきれいな水、真心などが一体となった真っ白なご飯は格別の味だ。

 京畿道利川にある米食堂で感動的な「ご飯」にめぐり会った。黒い石鍋で炊かれたご飯は真っ白で透明で、キラキラと輝いていた。炊き立ての熱々ご飯をスプーンですくってフーフー言いながら口に入れる。柔らかいけれど弾力のある歯ざわりに「美味しい」と思わず叫んでしまうようなご飯。

 利川ではこのような格別なご飯を出す食堂が多い。長細い利川市を対角線に貫通している3番国道を走っていると、「利川米食堂」という看板がかけられている食堂が20店程度ある。特に、広州市と利川市庁の間にある新屯面、スグァン里、沙音洞に集中している。

 特別な料理ではなく、白米をメインに掲げるこのような食堂が多い理由は、この地域の米の質が優れているため。利川米は朝鮮時代から王様の食卓に出された米としても有名。現在も利川では一等級の米だけを選んだ「王様印利川米」というブランドの米を販売している。

 利川市の農業技術センターのイ・ソンシクさんは「利川は内陸地形のため、昼と夜の気温の差が大きく、稲がよく実るだけでなく、土が米の栽培に適している土壌であるため、米が養分を吸収しやすい」と説明した。ほとんど(88%以上)が地下水を使用して米を生産しているのも美味しさの秘訣だという。

 利川米が「定食」になったのは15年前。コミ亭の主人コ・ミジョンさんのアイディアだった。「夫が陶磁器を販売しており、お客様を接待することが多かったのですが、接待できるような食堂がなかったのです。だから私が直接、この地域の特産品である利川米を心を込めて炊いた最上のご飯に、美味しいおかずを出す食堂を運営することにしました」

 そのとき、コさんがオープンした食堂は「利川米食堂」。コミ亭のある坂の下の方にある。コさんは7年ほど前に現在のコミ亭をオープンし、その後からはコさんの兄が引き続き運営している。

 コミ亭をはじめとした利川米食堂は、農協で精米したての米を使っている。米を炊くのにかかる時間は15分。メニューには「注文してから約20分かかります」と書かれている。20分間の待ち時間が惜しくないほどのご飯の味だ。

 利川地域の米定食は8000~1万ウォン。コミ亭ではポッサム(蒸し豚をキムチで包んで食べる料理)、チョン(野菜や肉に卵をつけて焼いたもの)、チャプチェ(春雨と野菜と肉の炒め物)、カボチャのお粥など20種ものおかずがつく「白磁定食」(1万ウォン)から、カニの醤油漬け、刺身など30種のおかずがつく「青磁定食」(3万ウォン)まである。おかずの種類と数はその時々によって違うが、おかずにはご飯ほどの真心は感じられない。ご飯の味を楽しむためなら「白磁定食」を注文すれば十分だろう。

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