『2006大学歌謡祭』の落選バンド、ネチズンに大人気


 「『2006大学歌謡祭』では受賞を逃したが、Muzgrainの曲は本当に最高だ。彼らこそ真のチャンピオンだ」

 新しいスターが誕生した。先月30日夜に放送されたMBC『大学歌謡祭』に出演した全州教育大学生のバンド「Muzgrain」は、この日何の表彰もされることなく終わったが、放送終了後、受賞チームを抑え、ネチズンから爆発的な支持を得ることになった。

 翌10月1日には、ほとんどのポータルサイトの人気検索用語で1位となり、「君たちの歌を聞いて久しぶりに大きな感動に包まれた」とエールを送るネチズンらのメッセージが続々と書き込まれた。またMuzgrainのメンバーは、数百人近い知り合いから電話がかかってきて対応に大忙しの毎日だという。昨年は『よろしくお願いします』を歌ったバンド「Ex」が受賞し、女性ボーカルを務めたイ・サンミが話題となったが、今年は予想外にも落選したバンドが最も大きな注目を集めた。

 Muzgrainは音楽教育科の学生らがメンバーとなった6人組の男女混声バンドだ。先月30日夜の歌謡祭では、一番最後の12番目に登場し、自作曲『into the rain』を歌った。個性豊かな彼らの歌を聞いた観客たちは、彼らを熱烈に応援したが、受賞には至らなかった。 Muzgrainのメンバーは「残念だが、本選にまで勝ち残って、自分たちの音楽を多くの方たちに聞いてもらえただけでも満足に思いたい」と話し、静かにステージを去った。

 しかし翌日、家に戻る途中の高速バスの中で、6人のメンバーはお互いに手を取り合って感激した。インターネットで「Muzgrain」が爆発的に人気となっているとの連絡を受けたためだ。バンドリーダーのキム・スンジェ(22)さんは「あるネチズンから“ガンにかかった母親の世話に疲れ果て、生きるのがつらくなっていた時、Muzgrainの歌を聞いて元気が出た”とのメッセージが寄せられ、メンバー全員で抱き合いながら涙した」と話した。

 Muzgrainの曲が高く支持されているのは、型にはまった大衆的な曲が多い中、その形式から抜け出し、自由なスタイルに挑戦した彼らの音楽精神が宿っているからだ。彼らはピアノ、バイオリン、コントラバスなどの楽器を使い、ジャズ、ロック、クラシックの要素を取り入れた曲を完成させた。

 「誰からもアドバイスを受けずに、自分たちだけの新しい音楽を作ってみようと話しました。ジャンルですか?そうですねえ。そういうことは一切考えたことがありません。ただ2カ月間準備をしながら、“周囲からは助けを借りない”という原則だけを守りました」

 歌詞に込められた意味も彼らの人気につながった。「走るバスの窓/すれ違う雨の滴/灰色を帯びた/心もとないともしび/よく聞け/温かな勇気が必要だ/さあ、ベルを押して飛び込んでみろ・・・」という歌詞について、キム・スンジェさんは「雨が降っている中、歩き回りながらこの歌詞を作った。世の中のさまざまな困難から逃げないで、勇気を持ってぶつかってみろというメッセージに同世代の若者たちが共感したようだ」と語った。

 また「今後の進路は具体的にまだ決めていないが、音楽を続けていきたいという気持ちはある。アルバムを出すかどうかは、秋夕(チュソク、韓国の旧盆)の連休が終わった後、メンバーと話し合って決めるつもり」と話した。

チェ・スンヒョン記者
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