ヨン様レストラン「ゴリラ」潜入ルポ


■レストラン「ゴリラ」内部 


 ソウル市江南区狎鴎亭洞の島山公園正門前はいつも車が並んでいる。それも外車または韓国製の最高車だ。

 最大の原因は「ゴリラ」のせい。

 ヨン様ことペ・ヨンジュンが経営する1・2階の健康食レストランだ。30‐40代の日本人女性観光客はもちろん、江南のおしゃれな女性たちでいつもにぎやかだ。

 ところが「ゴリラ」は取材には非協力的だ。ペ・ヨンジュンという名を出すなら、取材に協力できないという。そこで記者も客の1人として潜入し、携帯電話のカメラで密かに写真を撮り、献立をのぞき見るしかなかった。

 ここはペ・ヨンジュンが筆頭株主となっているキーイーストの子会社で、ペ・ヨンジュンのレストランといっても過言ではないのに、ペ・ヨンジュンと関連づけることを嫌がるのは、単に韓流レストランと見られるのを警戒しているからだ。

 ターゲットとなる客層も日本や東南アジアをはじめとするアジアの韓流ファンではなく、健康やダイエットを考えて少し特別な料理を食してみようという人々だ。レストランに足を踏み入れると栄養や健康チェックのための相談室が目に入る。

 客が希望すれば体質分析もしてくれ、その人に合うメニューリストまで作ってくれる。




■レストラン「ゴリラ」のメニュー 

 ウエーターの案内に従いテーブルにつきメニューを見ると、目に入るのがメニュー別の詳しい説明だ。「この料理は何カロリーで、どんな栄養素が含まれていて、どんな効果があるのか」という説明が書いてある。

 男女別で料理の量に違いがある。男性は10~20%ほどカロリーや量が多い。ヒレステーキの場合、男性は400グラムで624キロカロリー、女性は350グラムで497キロカロリーという感じだ。価格も男性は3万ウォン(約3700円)、女性は2万7000ウォン(約3320円)となっている。

 ここで注目すべきは料理サイズの呼び名だ。女性はヒューマンで、男性はゴリラになっている。女性に対するヨン様の特別な思いやりがにじみ出ている表現だ。男性は急に人間からゴリラになってしまうわけだ。

 健康を第一に考えるレストランだから、材料は有機農業によるもので、韓国最高にこだわる。また、化学調味料を一切使っていない。クリームも、乳脂肪を避けるため野菜を特別な方法で調理して作る。値段はそれほど高くない、というのがお客さんたちの考えだ。



 フレッシュ・フルーツ・ジュースは9000ウォン(約1110円)から1万ウォン(約1230円)くらいで飲める。近くのカフェよりも安いくらいだ。食事メニューでも高いものが3万ウォン程度で、鶏ささ身メニューは2万ウォン(約2460円)前後で食べられる。

 健康第一のレストランだからと言って、食べ物もまずいだろうと考えるのは思い違いだ。むしろ淡白な味は韓国人の口にも合うスタイルになっている。鶏ささ身の料理は一般的にパサパサしていて味がない。しかしゴリラの料理長の手にかかれば、肉は軟らかく、味もしっかりしている。「ささ身はまずい」という固定観念を完全に覆すとでもいうべきかもしれない。

  ヨン様は最近、ドラマ『LEGEND-太王四神記』撮影のため済州島に滞在する時も、1日1食はここで作った料理を空輸して食べるという。それほど食べ物に対するこだわりがあり、質のいい食事を客に提供しようという無言の圧力(?)も働いているのではないだろうか。

 「ヨン様という名前にかこつけて、味は気にしない、やたらに高いレストラン」という先入観は、「ゴリラ」を後にして跡形もなく崩れた。去年、日本のファンの不幸に涙を流したペ・ヨンジュン、ファンの健康まで気遣うペ・ヨンジュンは、やはりゴリラの王・キングコングだった。

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