『私たちの幸せな時間』で輝くカン・ドンウォン&イ・ナヨン

 『私たちの幸せな時間』(ソン・ヘソン監督、14日公開)は若い俳優2人の魅力がすべてを圧倒している。2人は長年の苦痛を振り払ってポロポロ涙を流しても、囚人服を着たままヘナヘナと座り込んでも、やはり美しかった。3回自殺を試みた女が、3人殺して死刑囚となった男と出会うという悲劇。カン・ドンウォンとイ・ナヨンは、闇の中でほんの一瞬揺らめく2本のロウソクの火のようだ。


◆カン・ドンウォン

「抱きしめたくなるような弟のイメージもOK」

 186センチの長身に、小さくて繊細な顔立ちのカン・ドンウォン。彼も「(自分の)容姿に(俳優として)コンプレックスを持っている」と言い放って、普通の人たちを挫折させるのではないだろうか。「いいえ。このままでいいです。イメージのせいでプレッシャーを感じたりはしません。ただ、それとは関係なく一歩ずつ俳優としての道を進むだけです」。それなら、女性ファンに聞いた彼の魅力は「頼りがいのあるお兄さん」ではなく「抱きしめたくなるような弟」だ、と聞いてどう思う?「それでもいいです。責任を感じなくてもいいですから(笑)」。

「試写会や打ち上げでも涙が出るんです」

 『私たちの幸せな時間』でユンス(カン・ドンウォン)はユジョン(イ・ナヨン)との面会日に思いを馳せて「木曜日さえあればいい」と言う。カン・ドンウォンはは「すっと‘昨日’みたいな日が続いたらいいと思ってしまいました。この映画は本当に気持ち良く撮影できました。昨日の試写会が終わって打ち上げをしたんですが、‘お疲れ’というメールがたくさん来たんです。僕の心に残っている映画も、もう終わるんだなあ、という気がして涙が出てきました」。

「怪物みたいな俳優だったと思ってくれれば…」

アクション時代劇映画『デュエリスト』や純愛映画『私たちの幸せな時間』に出演したカン・ドンウォンだが、次回作『あいつの声』では凶悪な誘拐犯を演じる。選んだ作品を見ると、「俳優カン・ドンウォン」の演技欲がどれほどのものか分かる。おそらく『私たちの幸せな時間』は観客がカン・ドンウォンの容姿ではなく演技に注目する初の映画となるだろう。「俳優としての人生を終えた時に、僕を怪物みたいな俳優だったと思ってくれたらステキだな、と思います。完全に役柄に溶け込んで、身の毛もよだつような演技をした、なんて・・・。もちろん、まだまだですが」。両手を組んだままぐっと力を入れ、若い俳優は数十年後の自分の姿を語った。


◆イ・ナヨン

「毎回計算して行動すると、すぐに底が見えます」

変だ。いいイメージもしばらくたてば半減するものと決まっているのに、イ・ナヨンという女優の独特の神秘さは、まったく尽きることがない。「毎回計算をして行動していたら、今ごろはすべて見えてしまうんじゃないでしょうか。いつも自分の気持ちに正直に取り組んできたから、逆にそうならなかったんだと思います」

「涙?普段は歯を食いしばってでもガマンします」

 イ・ナヨンは涙を否定しながら泣く。涙が流れる時、彼女は反射的に横を向いて涙を流す。みんなに心の内を見せまいという意地や、気付かないうちに涙を流す悲しみの間に、女優イ・ナヨンはいる。「『私たちの幸せな時間』で涙のシーンをすべて撮り終わった後、膝の関節がすごく痛くなりました。実は普段は涙を耐えることが多いんです。泣き崩れるくらいなら、歯を食いしばってでもガマンします」

「38回撮り直しても演技が好き」

 イ・ナヨンは想像よりも明るく、こだわりが強い女性だった。38回も撮り直したシーンを語るとき、彼女からは「仕事」に対する興奮とプライドが感じられた。「最初に演技を始めたころは、ただNGだけは出さなければいいと思っていました。周りの人は“彼女の性格では長く続かないだろう”と言っていました。ところが、今はもっともっと演技に興味が出てきました。新しい作品が始まるときはいつも自信ゼロだけど、仕事で緊張する感じが好きです。私みたいな女優が1人くらいいるのも面白いでしょ?」。

文=イ・ドンジン記者 , カン・ドンウォン写真=チェ・スンウ記者
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