【記者手帳】『グエムル』盗作騒ぎを無視してはならないワケ

 盗作騒ぎの発端はネチズンの疑惑提起だった。最近、日本で公開された『グエムル-漢江の怪物-』が日本のアニメ『WXIII 機動警察パトレイバー』に登場する廃棄物13号と似ているというもの。反米という設定、下水道を舞台にした展開、怪物が焼かれて死ぬ結末も似ているという指摘だった。

 『グエムル-漢江の怪物-』の制作会社チョンオラムは「日本内の反韓流・嫌韓流に起因していると思われる」とし、公式的な対応をしていない。しかし日本での興行については不安を隠せない様子だ。同作は韓流スターなしでも、作品性だけで日本で成功できると自負してきた作品だった。

 同作の盗作疑惑のうち、背景の設定とストーリー展開の部分は「敏感過ぎる反応」であるといえる。このような怪物は『WXIII 機動警察パトレイバー』にのみ登場するわけではない。この手の作品で、怪物の誕生過程は一種のひな型のようになっている共通の設定だ。独創性があるとはいえないが、あえて盗作として取り上げられるほどのものではない。


 『グエムル』の盗作騒ぎで懸念される部分は「怪物のデザイン」。同作の主人公である怪物と『廃棄物13号』の怪物のキャラクターが驚くほど似ているのだ。退化した足、背中に寄生した魚など細かい部分まで一致する。2年6カ月間、2000枚以上のスケッチの中からポン・ジュノ監督が選んだという言葉もむなしく響くばかりだ。ビジュアルが似ていると印象が深く残り、盗作騒ぎも長く続く。韓国のロボットアニメ「テッコンV」と日本の「マジンガーZ」がそのよい例だ。

 怪物のデザイナーであるチャン・ヒチョル氏は漢江に生息する気味の悪い生物をすべて結合させた形として怪物をデザインしたと話している。しかし映画のメイキングブックには「試行錯誤の繰り返しで、方向性に対する根本的な混乱が生じた。一時はスランプに陥り、気も狂わんばかりだった」とデザインの過程を描写している。新しい生命体の創造がどれ程難しい作業であるのか実感させる部分だ。

 韓国はまともな特殊効果チームすらない状態で「怪物のデザイン」という未知の領域に挑戦した。絶望的な部分は何をどのように作ったとしても、日本の怪物と似ているという点だ。日本は名実共に怪物デザインの世界最強国だ。妖怪文化の伝統を持つ日本は、既に1950年から半世紀以上に渡り、爬虫類・両生類・鳥類などほとんどすべての動物をモチーフに、数千匹以上の怪物を作り出してきた。このうちのどれとも似ていない新しい創造物を作るのは容易なことではない。現代の映画のストーリーがヒッチコックの影響で自由になれないのと同じことだ。

 現代の怪物映画で日本の怪物の影響力を克服した唯一の例は『エイリアン』だ。H・R・ギガーという天才アーチストの力だった。しかし韓国の土壌で、このような特殊分野デザインの専門家を望むのは無理がある。

 韓国の怪物映画、特にデザインはまだヨチヨチ歩きの段階だ。『グエムル-漢江の怪物-』の韓国での大ヒットに過信することなく、今回の盗作騒ぎを機に、まだ先は長いということを認識する必要がある。独創的なキャラクターを想像できる基盤作りにも力を入れなければならない。同作の続編を考えているのならばなおさらだ。

キム・ヨンホ記者
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