【インタビュー】キム・スンウ「娘のために禁煙を決心」


 キム・スンウとの会話はいつも楽しい。優しく明るい笑顔。気取りのない低い声。次々飛び出てくるユーモア。だから記者たちは何か特別なことを聞き出さなければならないインタビューの席で、いつも本来の目的を忘れ、つい会話を楽しんでしまう。

 今回も最近出演した映画『浜辺の女』についてインタビューを始めたものの、話題はいつの間にか9カ月になった娘を持つ父の愉快な日常の話に移ってしまう。1週間の差を置いて次々公開される2本の映画『浜辺の女』と『恋愛の耐えられない軽さ』でそれぞれトップ女優コ・ヒョンジョン、チャン・ジニョンと共演した“幸せな男”キム・スンウに、ソウル仁寺洞の眺めのよいホテルの一室でインタビューした。

 「たばこ吸ってもいいですか?」。インタビューに遅刻し「すみません」というあいさつとともに一番先に飛び出したのがこの言葉。キム・スンウはかなりの愛煙家だ。1日に2箱以上のたばこを吸うという。酒が入るとその本数は数え切れないほどだとか。

 しかしそんなキム・スンウが禁煙に挑戦するつもりだという。大切な娘のためだ。

 「本当に大変なんですよ。娘には時々しか会えないのに、抱っこする前は大騒ぎです。たばこのにおいがするのではないかと口をすすいだり、手を洗ったり…だから娘のためにたばこをやめようかと思っています」

 キム・スンウにとっては大変な決心だ。これまで1度も真剣に禁煙を考えたことはないという。しかし最近は、娘との間を邪魔される(?)ため、たばこが面倒になってきたのかもしれない。

 「次に会ったときはたばこをやめているはずです。見ていてくださいよ」

 『浜辺の女』ではいくらでもたばこを吸うことができたのが大きな魅力だったという。キム・スンウが演じたキム・ジョンレは、シナリオを書くため、後輩カップルと一緒に西海岸の静かな浜辺に来た映画監督。ほとんどのシーンでたばこは吸いっぱなしだった。演技が体の奥からにじみ出るようだったのは、このたばこのお陰だったともいえる。

 キム・スンウのリアルな演技は観客にも好評だった。フィルム1本の分量にあたる4分間を丸々1人で話し続けるという長セリフもあった。3本の木の前でチョル(額を地面につける韓国式のお辞儀)をしながら嗚咽するシーンではいくらでも涙を流した。ここに映画初出演のコ・ヒョンジョンのイメージチェンジが加わり、映画は高い評価を得ている。

 『恋愛の耐えられない軽さ』でもキム・スンウのキャラクターが光っている。おてんばなバーのホステスと禁じられた恋に落ちる男ヨンウン、『浜辺の女』のキム・ジョンレとイメージ的には似ているが、感情の色合いはまったく違う。

 「1度に2本の映画が公開されるのには困惑しました。わざとではないのに、まるでギャラだけが目的で幾つもの映画に出演する俳優のように見られるのではないかと心配です」

 89年にデビューしてから演技経歴も17年。そろそろ演技の味が分かるころだが…結局インタビューの締めくくりはたばこと娘の話。「今日、娘が初めて立ったんですよ」と携帯電話で動画を見せてくれるキム・スンウは父親以外の何者でもなかった。

キム・イング記者
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