「ざるそば」と似て非なる韓国の「メミル」

 明洞の真ん中にいかにも古そうな外観の、実はオープンから数カ月しか経っていないざるそば屋がある。冬はうどん、夏はざるそばがメインだという。

 場所は市庁から小公洞に向かう道。少し先には韓国銀行ロータリーがある。

 この近くには古から営業しているオーダーメードの背広を作る店がある。韓国の有名人の背広を作っている店だが、大型の店が多い明洞で小さな店が細々と並んでいる様子は一種の伝統さえ感じさせる。

 外観は古くから営業している店のようだが、中は驚くほど現代風なこざっぱりした粉食屋(軽食を食べさせる店)スタイル。それほど広くない内部は、立ち食いそば屋のように「さっと食べてさっと帰る」という印象だ(実際に食べるのに5分しかかからない)。

 ざるそばとはいえ、日本式のざるそばを期待してはならない。まったく別物と思った方がよいだろう。お盆にワンセットになって出てくるのは、大根おろし、みじん切りにしたネギ、キムチ、タクワン…そして特大チューブ入りのワサビ。この店のツユは韓国人の好みにぴったり合った味だ。あまりに美味しくて一皿をあっという間に平らげてしまったほど。なんともいえぬ甘さが大根おろしやネギ、わさびと一体になっていくらでも食べられそうだ。ツユはこの店のおばさんの手作りだという。


 麺は日本のそばとはまったく違うが、韓国のそば(メミル)とも少々違う。その中間程度の、ツルツルして適度に弾力のある麺が素晴らしい喉ごしで滑り落ちていく。


 その上、嬉しいのはその量。いつもざるそばを食べ終わると「食べ足りない」という思いにかられるが、この店の量なら十分に満腹感を得ることができる。料金も満足の4000ウォン(約480円)。明洞でこんな値段で美味しいざるそばが食べられるとは嬉しいことこの上ない。店の前に常連客が並ぶ日も近いだろう…。

 しかしこの店、まだ名前がないという。看板にはただ「うどん・メミル(そば)専門」とだけ書かれている。

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