今月25日、金曜日の朝7時、ソウル市麻浦区庁別館前。夏の終わりの雨を物ともせず、今日も「彼女たち」はやって来てあちこち行ったり来たりする。旅行用の帽子にハイヒール、レースのスカートがかわいらしい彼女らは、俳優ソ・ジソブ(29)=写真=の追っかけをするために日本から来た熱烈なファンたち。
ソ・ジソブは兵役の代替勤務のため、去年春から麻浦区庁文化体育科に公益勤務要員として勤務している。去年8月、日本のケーブルテレビでKBSミニシリーズドラマ『ごめん、愛してる』が放送されて以来、ここは「ソ様」ファンの巡礼地となった。毎日1540人ほど、3040代の「日本のお姉さまたち」がやって来る。
「こりゃ大変なことになった…。がっかりするだろうに」。同区庁のイ・スビョン広報チーム長は気の毒がった。この日、あいにくソ・ジソブが「体調が悪いので午後から出勤する」と電話してきたためだ。イ・チーム長は迷った末、「午前中は会えないので、働いている場所をご見学ください」と日本のファンたちに言った。ファンたちは一斉に歓声を上げ「カムサハムニダ(ありがとうございます)」「ありがとう」を連発した。イ・チーム長が「わざわざ遠くからいらっしゃったのに、本当に申し訳ありません。愛しています」と言うと、韓国語が分かるAさん(45)が大喜びで笑った。「ヨン様のために韓国語を勉強したけれど、今のわたしのスターはソ・ジソブさんです。ペ・ヨンジュンさんとはサヨナラです」
「これがソ・ジソブさんの机です。毎朝、新聞記事をスクラップして19の事務室に配達します」。ファンは通訳の言葉に口をそろえて「ええ。ええ」と感嘆してうなずく。机・いす・スクラップ帳など、ソ・ジソブに関するあらゆる物が彼女たちのカメラに収められた。
自分の名刺にソ・ジソブの写真を入れているBさん(30)は今回が3回目の訪韓。「所属事務所が区庁にファンを出入りさせないよう頼んだのに、事務室の中まで入れてくださってとてもありがたいです」。彼女たちはソ・ジソブの近況に精通している。
同区庁文化体育科のキム・キョンミさんは「先週、ソ・ジソブさんは夏休みだったが、どうして分かったのか、ファンたちはパタッと来なくなった」と話す。
午後1時。ついにソ・ジソブが現れた。しかし、どこかで時間をつぶして再び戻り、かたずをのんで見守っているファンには目もくれず、すぐに「勤務モード」に入る。自分の席がある所とは別の事務室とトイレだけを行ったり来たりして仕事に打ち込む。
しかしファンは口をそろえて「残念だなんてことはありません。わたしたちのために仕事に差しつかえが出てはいけません。会えただけでも幸せです」と言う。
2 階のロビーに座り、ガラスドア越しに彼が行ったり来たりする姿を何時間も眺めては立ち上がる。そうして、ソ・ジソブがドアの外に出てくると、シャッターを切りまくっては、低い声で「きれいですね」を連発するCさん(44)。「日本にも俳優はたくさんいるけど、ソ・ジソブは違います。
深く、奥ゆかしい美しさがあります」