【現場ルポ】息ぴったり、『夏物語』主演イ・ビョンホンとスエ

ビョン様絶賛!「スエさん以外にこの役を演じることは想像できない」


 深い山奥にある慶尚北道醴泉郡龍門面のソンドン村。住民は50世帯70人しかおらず、58歳の村長が1番若いという、そんな過疎化した村だ。そんな山奥中の山奥にイ・ビョンホンとスエ主演の映画『夏物語』(監督:チョ・グンシク)の花が咲いた。

 3日、撮影真っ最中のソンドン村は蒸し風呂のような暑さで、温度計は36.3度まで上がっていた。じっと座っているだけで汗が滝のように流れ落ちた。

 しかしソンドン村は映画のシーンの70%が撮影される場所であるため、流れる汗が止まるほどの真剣な雰囲気のなかで撮影が進められた。


◆60年代の農村を再現

 『夏物語』は1969年夏に農村でのボランティア活動に参加した大学生ユン・ソクヨン(イ・ビョンホン)がその村で知り合ったソ・ジョンイン(スエ)と恋に落ちることによって始まる物語。映画の中には緑の田んぼの風景が頻繁に登場する。

 しかし2006年の韓国では、山奥に田んぼのある村はない。ほとんどの若者が都会へ行き、残っているのは老人だけだからだ。しかしここソンドン村だけは例外だ。演出部のスタッフが農夫となり、今年5月から荒地となっていた3000坪を耕し、トウモロコシと豆を植え、田植えまで行った。スイカが出てくるシーンのためにスイカ畑もしっかりと作った。

 制作スタッフは「むしろセット場を作った方がましだと思えるほど大変な作業だった。しかし生涯忘れられない夏になるだろう」と明るく笑った。


◆初々しい恋

 イ・ビョンホンとスエのこの村での生活も2カ月が過ぎた。イ・ビョンホンは真っ黒に日焼けし、スエも「田舎ファッション」がさまになってきた。

 実際、1960年代の様子を演じるということは、時代劇を演じることもよりも難しい。イ・ビョンホンとスエを含め、スタッフらは当時のイメージを媒体に一丸となって撮影に臨んだ。「あなたを思うとき、わたしの心はいつも夏になります…」という映画のコピーのように、長い歳月に渡る切ない恋物語を夏とともにひとつひとつカメラの中に収めていった。

 イ・ビョンホンとスエの呼吸もばっちりだった。イ・ビョンホンは「このシナリオを最初に読んだとき、スエさんの顔が浮かんだ。モニターを見ていると、これが映画ではなく、スエさんが実在の人物のような気がしてくるほど。スエさん以外の女優がこの役を演じるところは想像できない。女優たちにはそれぞれ違った魅力があるが、スエさんはこの作品で自分の魅力を十分に発散している。自分だけの色をはっきり持っているという点が素晴らしい」と称賛の言葉を惜しまなかった。スエも「最初、イ・ビョンホン先輩が相手役だという話を聞いたとき、とても嬉しかった。先輩の演技はとても自然で、リハーサルのときも私の本番の演技よりはるかに上手い」と恥ずかしそうに笑った。


◆夏を作り出すチョ・グンシク監督

 チョ・グンシク監督も嬉しそうだ。「あまりにも暑くて死にそうだ。早く終わらせるために仕方なく撮っている」とジョークを飛ばす表情には満足げな微笑みが浮かんでいる。

 チョ監督は簡潔であっさりしていながらも切ない情緒溢れる作品性にひかれて『夏物語』を選んだ。「様々な感情が内在している真実味のあるラブストーリー」と紹介した。そして「素晴らしい俳優たちと作品を撮るのが夢だった。これまでの作品はその点で不十分だった」と周りを笑わせた後、「今回の映画で自信を持って言えることは、これまでとは違う、人間的で魅力溢れるイ・ビョンホンとスエの姿を見ることができるだろう」と自信の程を語った。

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