実業家として手腕発揮するペ・ヨンジュン


◆動かす資金だけで1000億ウォン台 

 俳優13年目のペ・ヨンジュンさんはコスダック(電子取引システムで運営されている韓国の場外株式取引市場)に上場されている総合エンターテインメント企業「キーイースト(KEYEAST)」の株42.2%を所有する筆頭株主でもある。21日の終値(2万6800ウォン=約3280円)で所有株式の評価額は520億ウォン(約64億円)にのぼる。さらに外食産業会社や日本の所属事務所に個人的に投資した資金を合わせると約1000億ウォン(約122億円)を動かしていると推定されている。そんな彼が去年納めた税金の額は70億ウォンだという。

 ペ・ヨンジュンさん側は「株で儲けているという誤解を招かないよう、2年間所有株の売買を制限している」と話す。

 キーイーストは今年3月、ペ・ヨンジュンさんが倒産の危機に見舞われていたコスダック上場企業「オートウィンテック」経営権を買収、社名変更した会社だ。ペ・ヨンジュンさんは今月12日、自らが所有する所属事務所BOFを迂回上場(正常な企業公開をせず、合併や株式の交換などによってコスダック上場企業の株式を保有し、上場の効果を得るという方法)によりキーイースト子会社に編入、160億ウォン(約20億円)の差益を出すという手腕を発揮した。

◆「一発屋的なビジネスではない」 

 ペ・ヨンジュンさんは大株主リストに名前だけが載っているような他の芸能人たちとは違い、自身が事業の青写真を直接描くなど、経営の中核として参加していることで知られている。キーイーストのペ・ソンウン代表取締役やヤン・グンファン本部長ら役員クラスのほとんどは10年以上、ペ・ヨンジュンさんと共に仕事をしてきた元マネージャーたちなどだ。

 ペ・ヨンジュンさんは2~3年前から彼らに「韓流ブームが長く続くよう、アジア各国のエンターテインメント業界と双方向で交流を広げる事業をしたい」という抱負を語っていたという。中核事業の方向は直接自身が決めているということだ。

 また外食産業に関しても急速に拡大している。去年オープンしたレストラン「スマートキッチン」をはじめ、ウェルビーイングをテーマにしたレストランやカフェを次々にオープンさせている。去年6月、ロッテデパートソウル本店に韓国伝統茶のカフェ「ティーロフト」をオープンしたのに続き、今年4月にはソウル新沙洞に健康食レストラン「ゴリラ・イン・ザ・キッチン」をオープン、来月には東京に韓国レストラン「高矢礼」をオープンする予定だ。

 彼をよく知るテレビ局プロデューサーは「ペ・ヨンジュンさんはこの3年間、アジアの有名レストランに一軒一軒立ち寄り、そこで得たアイディアからメニューやインテリアを自ら選んだり、具体的な事業計画書を持ち込み、外部のコンサルタントに相談したりしていた」と話す。

◆ペ・ヨンジュンさんの経営者DNA  

 ペ・ヨンジュンさんは完璧主義者として定評がある。シナリオを受ければボロボロになるまで線を引いて分析する。彼のグラビアを撮った写真家たちは「Bカット(ボツになる写真)がない」と感心する。人を自分の味方にする才能や広い人脈も、彼が持つ実業家としての資質だ。

 「‘お金のにおい’も驚くほどよく嗅ぎつける」と彼を知る人々は話す。「商売になりそうな事業アイテムを神業のように見い出し、成功させる」というのだ。ペ・ヨンジュンさんは去年「100日シェイプアッププロジェクト」を考え出し、3カ月で自分の体が体脂肪率2%台という国家代表アスリート並みに変わる過程を写真集に収め、発行した。周りの人々からは「ソフトなイメージ」路線を保てと引き止められたが、ペ・ヨンジュンさんが押し切った結果、60億ウォンもの収益を上げる大ヒットとなった。

 こうしたなかで「CEOペ・ヨンジュン」について成功したかどうかを評価するには時期尚早との指摘もある。10大芸能事務所の1つのA社長は「今は彼がする事業はすべてうまくいっているが、これが韓流ブームを背景にしたバブルかどうかは、さらに見守らなければ分からない」と話している。

シン・ジウン記者
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