韓国の若者たちが時には可愛らしく、時には奇妙で猟奇的な日本の独立映画の魅力にはまっている。大田アートシネマが20~26日、個性溢れる日本のインディーフィルム11編を集めた「日本インディーフィルムフェスティバル」を開催する。6月末にソウルで行われた際は、観客占有率91%、チケットも毎回売り切れとなるなど大きな反響を呼んだ。
現実とファンタジーの世界を行き来する『茶の味』は、おととし富川映画祭でも紹介された作品。浅野忠信が無職の青年を演じている。同作品の中で流れる究極の脱力ソング「山よ!」は既にインターネットで人気を集めている。
主にアニメ音楽で韓国でも根強いファン層を形成している菅野よう子の音楽が印象的な『好きだ、』(2006)は、昨年のモントリオール映画祭で監督賞を受賞している。『亀は意外と速く泳ぐ』(2005)は夫の無関心の中でスパイになることを決心した平凡な主婦の漫画のような生活を描いた作品。“猟奇”は日本映画を読み解くもうひとつのキーワードだ。『乱歩地獄』(2005)は江戸川乱歩の奇怪なミステリー4編を映画化している。
松竹の庶民劇、大映の時代劇、東宝のヤクザ映画など、それぞれ特色を持って発達したメジャースタジオがテレビ普及の影響で衰退し、1960年代以降、日本映画界は既存のシステムから脱皮した「独立映画」を次々と作り出した。歴史の分だけに幅と深さがある。小津安二郎の“畳ショット”や溝口健二の“ロングショット”を愛する映画ファンには日本映画の未来を、『ごくせん』、『ランチの女王』のようなテレビドラマが好きな若者たちにはその下地となった日本映画の底力を見せ付けるフェスティバルだ。