リュ・シウォンが涙を見せると、武道館も泣いた。
3時間半を超える公演の終盤。リュ・シウォンは濡れた目元をそっと拭い、ひざまづきお辞儀をして1か月間の日本ツアーを締めくくった。
「ありがとうございます」「ありがとうございます」と繰り返し、3階席までいっぱいになった1万人以上のファンを見つめるリュ・シウォンの表情には万感の思いが交差していた。
先月13日に東京国際フォーラムから始まった「2006 ジャパンライブコンサート」。1か月で福岡・大阪・仙台・新潟・広島・名古屋を経て東京武道館に帰ってきた。
13回にわたる公演の全席が売り切れたのもニュースだが、「日本のミュージシャンの夢」といわれる武道館を2年連続で満員になったことも歌手リュ・シウォンにとって夢のような出来事だった。
リュ・シウォンは「武道館は私の夢がかなった所。今、この瞬間を永遠に忘れない」と感激を表わした。
圧倒的な歌唱力とはいえないが、甘い彼の声は日本人ファンをすっかり虜(とりこ)にした。ビートの効いた『流れ星』で迫力いっぱいに幕を開けたリュ・シウォンは、『ひまわりのRhapsody (ラプソディー)』『ソンムル(プレゼント)』『モリカル(永遠の証)』『桜』『夏の夢』『秋桜 (コスモス)』などのヒット曲を次々と情熱的に歌った。アコースティックバージョンの『それでも』『好きです、好きです』が歌われると、ファンは熱狂の渦に巻き込まれた。
リュ・シウォンは歌の合間に日本後でファンに語りかけ、ビデオカメラで客席の隅々まで撮影するなどの思いやりも見せた。アンコールは2回。ファンはリュ・シウォンを帰そうとしなかった。
リュ・シウォンがファンとの長い別れを惜しむあいさつを心のこもったお辞儀で示し、ステージを去ってからも、席を経立つファンはいなかった。
リュ・シウォン直筆の手紙がスクリーンいっぱいに映し出された。「みなさんの声が私の声です」という最後の字幕が出るまで、ファンはうっとりとしていた。
「永遠の王子」リュ・シウォンにとって最高の夜となった。