『韓半島』の監督に聞く「観客のレベルを低く見すぎでは?」

カン・ウソク監督は「偏狭な民族主義者」なのか、ただの「商業映画の監督」なのか


 カン・ウソク監督の15作目の映画『韓半島』が遂にベールを脱いだ。「興行勝負師」と呼ばれるカン監督が製作コスト96億ウォン(約11億6000万円)を注いだこの話題作は、ふたを開けてみると激しい非難を呼びそうな予感だ。非難の核心は「民族主義の商業化」だ。

 『韓半島』は統一を前提とした南北縦断鉄道・京義線開通に日本が「絶対不可」を宣言することから始まる。100年前の大韓帝国との条約文を根拠に、京義線に対する全権利を主張したもの。これにチョ・ジェヒョン演じる熱血歴史学者チェ・ミンジェは「文書に押された王印は偽物だ」と主張、大統領(アン・ソンギ)の支援で真の王印探しを始める。

 『韓半島』はどう良く解釈しようとしても誤解されるのは仕方ないほど、始終一貫して「克日(日本に打ち勝つこと)」と「愛国」を叫んでいる。 明成皇后(閔妃)暗殺・高宗毒殺・日本の自衛隊による武力示威を意図に取り上げ、現実的な妥協を主張する首相(ムン・ソングン)やサンヒョン(チャ・インピョ)を責め立てる。26日、試写会終了後にカン監督に会った。監督の第一声は「この作品、どれだけ槍玉に上げられるだろう。果ては“現政権に迎合している”という人もいるし…。まったく」だった。


―『韓半島』の見方に反対すれば逆賊扱いされそうなムードだが?  

 「逆賊なんて。しかし偏狭な国粋主義者と非難されても言うことは言うつもりだ」

―「民族主義の商業化」という指摘に同意する? 

 「語感に抵抗感がある。もちろん、この映画は民族主義を全面的に支持する。しかし私は商業映画を作る監督だ。私が主張したいことのためにアクションやスペクタクルなど商業的な要素を盛り込んだということは誇りを持って言える」

―そういった部分だけではない。統一の現実的な困難さは省略され、日本の軍国主義は誇張されている。理性が必要な部分まで感性でアプローチしたのではないか? 

 「はっきり言おう。『韓半島』は商業映画だ。バランスよく双方の立場を反映したとすれば、これは商業映画としてはゼロだ。金辰明(キム・ジンミョン)氏の小説『ムクゲの花が咲きました』には核兵器まで登場する。黒か白か、善悪がはっきりしていなければ観客は居眠りするだろう。より多くの観客から支持されるため選択した方法だ」

―観客のレベルをあまりにも低く見ているのではないか。理想主義者の大統領と現実主義者の首相が登場するが、監督は9対1の割合で大統領の言い分を聞き入れたようだ。実際には「民族主義の商業化」よりも、単なる善悪の対立や奥深さがない登場人物のほうに根源的な問題があるように思えるが? 

 「私は7対3くらいだと思ったが(笑い)。正直言って、むしろ最近は仲間ウケを狙った映画が多いことのほうが心配だ。危険だ。だったら論文でも書いたほうがいい。ならばなぜ商業映画を作るのか」

―歴史的事実をもとに主張を導き出したのではなく、主張したいことに合わせて事実を添えたという指摘もあるが? 

 「同意できない。明成皇后暗殺はもちろん、乙巳五賊(韓国の外交権が日本に接収された乙巳条約=第2次日韓協約で、これに同意した韓国政府の5人)が高宗の臨終を見守ったという記録を見ると、高宗毒殺説はやはり事実だと思う。マッカーサーが日本から王印を受け取り返したが、韓国戦争(朝鮮戦争)中に行方が分からなくなったというのも事実だ。それに基づいて王印を探し出すという設定をフィクションに盛り込んだ」

―現政権に迎合しているという主張については? 

 「特定集団の美化、歩調を合わせている…こんな話が出るだろうと予感していた。しかしシナリオを書いたのは2年前だ。大統領の独島(日本名竹島)発言や、排他的経済水域(EEZ)論議が出る前だ。『公共の敵2』のときは検察美化論争が起きたが、今回も支離滅裂な話が飛び出したね。まったく違う」

―少しムードを変えよう。セットだけで20億ウォン(約2億4000万円)かかったと聞いた。内容に自信がないから映像の見栄えで勝負しようと思ったというジョークもあったが? 

 「そんな冗談、誰が言ったんだ?(笑い) 私の映画で初めて美術に念を入れたのは事実。1億ウォン(約1200万円)以上かけた慶尚北道安東の河回村セットは、たった一日半、撮影に使っただけで取り壊さなければならなかった。王印発掘シーンのためだ。国家情報院状況室のセットも2億ウォン(約2400万円)かかった。絶対に必要なシーンだったから、仕方なかった」

 ―事前に600スクリーン押さえたという話もある。予想観客動員数は?

 「『スーパーマンリターンズ』『パイレーツ・オブ・カリビアン』など直前に公開される映画の興行成績を見なければ何ともいえないが、昨冬の『タイフーン』の数字(530スクリーン)は越えないだろう。それ以上は実益がない。500万人くらいと予想している。300万人が楽しんでくれれば、200万人はあなたの主張のように不満に思うかもしれない。また、こうした論争に火がつけば、どうなるか分からないし。妻は結婚してから私が作った映画の中で一番おもしろいと言っていた。ちなみに、彼女はごく普通の冷静な観客だ。そして私は冷静な商業映画の監督なのだ」

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