ソウル市江南区新沙洞の島山公園前はキング・コングが出現したかのような大騷ぎだ。でもそれはキング・コングではなく、ヨン様ことペ・ヨンジュンが投資したレストラン「ゴリラ・イン・ザ・キッチン」が出現したため。ハイソサエティーなクリニックのように中も外も白で統一されたレストランの前には行列ができている。日本人女性たちが記念撮影をしながら感激することしきり。そうでなくても道が細く入り組んでいて車が通りにくい島山公園前なのに、さらに渋滞がひどい。
このレストランはゴリラのようにぜい肉が一つもなくがっちりしたマッチョなボディーを夢見る客をターゲットにしている。メニューはすべて調理師・栄養士・トレーナーが共同開発したものだ。バターやクリームは使わない。揚げ物もない。塩は1日の摂取量を基準にして調整する。砂糖ははちみつやメープルシロップに切り替えた。3回以上訪れた客は会員登録される。会員は体脂肪・血圧・身長・体重などを測定、コンディションを分析してその人に合った運動量や食事を教えてくれる。
メニューは博士論文と見間違うくらい、ぎっしりと文字で埋まっている。料理ごとに値段・カロリー・栄養分析情報・レシピ・量が載っている。量が選べる場合は「ヒューマン」と「ゴリラ」に分かれている。ヒューマンは女性一人分、ゴリラは男性一人分の食事として適切な量だ。
同レストランでは脂肪・塩分・糖分をできるだけ使わないレシピを開発するため、メニュー作りだけで1年かかり、特許まで取ったと説明して、「お客さんが食事しながら罪の意識を持たない料理」と話している。
健康食にしてはおいしい。太ったらどうしよう、という罪のような意識はないが、その代わり「おいしい、おいしい」といいながら食べる喜びもない。代表メニューの「カリフラワーソースのエビとトビウオの卵のパスタ」(1万7000ウォン=約2000円)はわずか420キロカロリー。それでも1日に必要なタンパク質の55%を取ることができる。しかしクリームを使わずにクリームの味を出すため、牛乳にカリフラワーをすりおろして入れたソースは薄味でアクセントがない野菜スープのようだ。「ハーブを添えて蒸した鶏胸肉とサツマイモ」(ヒューマンサイズ2万3000ウォン=約2800円、ゴリラサイズ2万7000 ウォン=約3200円)。324キロカロリー(ヒューマンサイズ)という点は良い。しかしホクホクを通り越してパサパサしていて、のどを通すのも一苦労だ。
「ゴリラ」は熱狂的ファンと極端に嫌がるアンチ派に好き嫌いがはっきり分かれるレストランだ。「30分待っても食べられなかったから出てきた」「あのレストランは待っている間に食べる弁当を持って行かなければならない」「駐車場ビルから車を出せなくて、用事を済ませてから夜にまた車を取りに来た」というクレームもある。一方、新トレンドに敏感な男女が話題のトップに挙げるレストランでもある。
昼間行ってみたら、客の30%が日本人女性だった。「ゴリラ」はこうした日本人ファンがあまりいない夜が、比較的すいている。お薦めメニューは「グリルで焼いたキノコと貝柱のバジルパスタ」(1 万6000ウォン=約1900円)、「米粉をまぶして焼いた豆腐のサラダとごまドレッシング」(ヒューマン1万2000ウォン=約1400円、ゴリラ1万 5000ウォン=約1800円)、「ヒレ肉のステーキ豆ソース添えと焼き野菜」(3万ウォン=約3600円)、「パイナップルと鶏胸肉オーブン焼き」(ヒューマン2万4000ウォン=約2900円、ゴリラ2万8000ウォン=約3300円)、「オリエンタル海鮮タンメン」(1万7000ウォン=約 2000円)、「シナモンクランベリーと焼きバナナ」(8000ウォン=約960円)など。営業時間は午前11時午後12時まで。問い合わせは(02) 34421688。