『怪物』スター抜き、作品性・素材が日で話題


 今年7月に韓国公開を控えているポン・ジュノ監督の新作『怪物』が日本で最も注目される韓国映画として関心を集めている。

 ペ・ヨンジュン&チェ・ジウのドラマ『冬のソナタ』がきっかけになった韓流ブーム以降、韓流スターたちが主演した映画は期待される中、続々と日本で封切られている。去年はペ・ヨンジュン主演『四月の雪』や日本のドラマをリメークしたチョン・ウソン&ソン・イェジンの『私の頭の中の消しゴム』が高い人気を集め、現在も‘ジウ姫’ことチェ・ジウ主演の『連理の枝』やチャン・ドンゴン主演の『タイフーン』などが上映されている。

 このような中で『怪物』に対する日本の関心の高さは異例だ。これといった韓流スターは出演していない『怪物』が注目されているのにははっきりした理由がある。100億ウォン(約12億円)にのぼる高い制作費もそうだが、『殺人の追憶』ポン・ジュノ監督の新作ということや、日本で伝統的に人気のある怪獣物の韓国バージョンということだ。そして演技派俳優ソン・ガンホ、ペ・ドゥナらに対する期待もある。

 製作会社の青於藍(チョンオラム)関係者は「2004年の『殺人の追憶』日本公開時、『シュリ』や『四月の雪』のようなブームにはならなかったものの、観客・映画評論家とも高く評価した。こうした期待が『怪物』につながっていると思う」と話している。


 韓日を十数年行き来しながら活動している日本の韓国エンタメ雑誌ソウルスコープの土田真樹記者は「これまで韓流スターの出演作は、その作品性とは関係なくスターの名前だけで青田買いするケースが多かった。しかし韓流の絶頂期が過ぎて、様相が変わってきている」と分析する。スターのいない作品や監督の名声で話題を集める『怪物』のような例は非常に励みになるというのが土田記者の評価だ。

 ソウルという大都会の真ん中、漢江に突然怪物が出現するという設定自体も日本人の興味をそそる要素だ。『ゴジラ』から始まった日本の怪獣映画は伝統があるだけでなく、大勢の熱狂的なファンを持つジャンルでもある。『怪物』は2006年の韓国で新しく試みられる怪獣映画として受け入れられ、付随効果も上げていることになる。

 韓流‘スター’ではない演技派・性格派俳優として日本でも知られるソン・ガンホやペ・ドゥナへの期待も高い。ソン・ガンホは『シュリ』『殺人の追憶』『反則王』などで演技派俳優として映画ファンの間でよく知られている。そして去年、山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』で日本デビューしたペ・ドゥナも‘スター’ではなく‘女優’として見られている。


 こうした期待を反映するかのように、日本のハピネットピクチャーズはクランクイン前の去年、香港フィルムマーケットでシナリオだけの価格として470万ドルの値をつけ、『怪物』の日本での版権を獲得した。ハッピーネットピクチャーズは当時はもちろん、現在も『怪物』の成功に自信を持ち大々的なPRの準備に入っている。『怪物』は今月17日に開かれるカンヌ映画祭で初公開された後、7月の韓国公開が確定している。

 100億を越える莫大な制作費はもちろん、しっかりした企画・オリジナル素材・名のある監督・演技派俳優という要素を持った『怪物』は、これまで韓流ブームに乗り日本で人気を集めてきた他の作品とは違う意味を持っている。それが野心あふれる日本公開を控える『怪物』に対し、さらに多くの関心が集まる理由だ。

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