水木ドラマ、勝負の鍵握る3人のヤクザ


 地上波3社の水木ドラマの主人公が、偶然にもすべてヤクザであることから、"ヤクザの演技”が同時間帯ドラマの視聴率争いを左右しそうだ。

 最終回に向けラストスパートをかけるSBS『不良家族』のキム・ミョンミンの愛情深いヤクザ演技と、中盤に差しかかったMBC 『Dr.ギャング』のヤン・ドングンの個性的なヤクザ演技。そして両者に続き、3日から放送が始まったKBS2の新ドラマ『偉大な遺産』のキム・ジェウォンもヤクザ演技に加わった。 

 キム・ミョンミンが演じるオ・ダルゴンは、鋭い目つきで相手を威嚇し大声を上げることしか知らない単純無知なキャラクターだが、心根は優しく純粋な男だ。暴力団のチンピラらしく「殺っちまうぞ」が口癖だが、少しも怖いという感じがしない。

 むしろだらしない表情、我流のダンスなどキム・ミョンミンの熱演は、可愛くコミカルに映ることが多い。ダルゴンは孤児として育ったため、家族というものに特別な思いを抱いている。家族代行業で出会った臨時家族のメンバーに深い愛情を抱き、時に見せる熱い涙の演技は見る者の心を打たずにはいられない。

 『Dr.ギャング』でカン・ダルゴ役を演じるヤン・ドングンは、自身の独特な雰囲気をうまく持ち味とし、退廃的なダメ人間を見事に演じきっている。暴力組織と国家機関の両方から見放され、奈落の底にまで転落した人生の虚無感と雑草のようなタフさを演技の中でうまく表現している。

 ダルゴは中学校中退の学歴しかないが、自分では元々は頭が良いと考えている。しかし嘘をついてもすぐに見透かされてしまう程の単純さや、すぐにいい気になっていばりちらしたり、どこか抜けていたりとその洗練されていない素朴さがダルゴの魅力だ。

 最後に登場したキム・ジェウォン演じるカン・ヒョンジェは、ヤクザという言葉がよく似合う荒々しいキャラクターだ。不精ヒゲを伸ばし、自分のスタイルを追求することを怠らない。ヒョンジェは父親に捨てられたという心の傷から、反抗を繰り返すようになり、死んだ母親のことですら平気で罵倒する。またヤクザとは言え、自分が殴るよりも殴られることの方が多い情けないヤクザのうえ、他人の弱点に平気でズケズケと踏み込む無神経で卑怯な男だ。

 同ドラマでは、こうしたヒョンジェのどうしようもない面を見せる一方、悲しみに打ちひしがれ涙を流したり、ヒョンジュが保育士として勤める幼稚園で園児たちと遊ぶコミカルな姿も見せる等、幅広いキム・ジェウォンの演技を披露した。

 これら3本の水木ドラマの視聴率は、3日はそれぞれ13.9%、11.7%、7.1%、4日は15.5%, 11.7%, 8.0%(TNSメディアコリア集計)と、飛び抜けて高い作品があるわけではなく、視聴者を均等に分け合っているような形だ。3俳優による“ヤクザ対決”が今後どうなっていくのか、ますます目が離せない。

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