シン・ヒョンジュン「この顔でも‘いい人’演じられます」


 映画『裸足のギボン』のため彼に会ったが、いざインタビューをしてみると、一番多く飛び出した単語は‘信仰’と‘奉仕’だった(彼のお母さんは毎日1日6時間祈りを捧げ、上のお姉さんは預言(神の言葉を告げる)能力を持っていると言う。彼自身も脳性マヒの障害児をボランティアで入浴させる活動を始めて3年目。最近映画で共演した俳優クォン・オジュンとは毎朝、聖書の聖句を文字メッセージで交換するそうだ)。

 シン・ヒョンジュンは『将軍の息子』(1990)の粗野な日本人「林」役で映画界にデビューして以来、『銀杏のベッド』(1996)の恐ろしいファン将軍役、『無影剣』(2005)の非情なグンファピョン役で鋭い目を生かした悲壮な美しさと残酷な美しさを映画を通して再生産した。『大変な結婚2』(2005)でコメディを演じる時も‘暴力団の親分’としてのカリスマ性を完全に捨てきれない姿だった。

 しかし『裸足のギボン』でシン・ヒョンジュンは少年の心を持った中年独身男として‘成功的退行’を見せてくれた。そのキャラクターは思ったより説得力がある。熱病を患い8才で精神的な成長が止まってしまった40才のキボンさんは村人にバカ扱いされるが、年老いた母親の入れ歯を作ってあげるため裸足でマラソン大会に出場する親孝行者。シン・ヒョンジュンはキボンさんを「私が本当に表現したい人物のスタート、リレーの第1走者」と表現した。


 『裸足のギボン』は事実、誕生のきっかけからしてシン・ヒョンジュンへさかのぼる。2003年、KBSのドキュメンタリー番組『人間劇場』を見ていた彼は「靴が擦り減るのがもったいなくて裸足で走り回ったキボンさん」を見て涙を流し、映画『飛天舞』の撮影で友達になったクォン・スギョン監督(当時助監督)に演出をオファーした。彼は実際の人物キボンさんから「40才にはできない笑顔」を見せてもらい、「表では笑っているが悲しい映画、人のにおいがぷんぷん漂うヒューマンドラマ」を作りたいという夢がかなうと信じた。「どうして走るのか」と質問されたキボンさんは「私が走ればお金がもらえるし、うちのお母さんの手伝いもできる」と答えるドキュメンタリー場面を見て涙をポロポロこぼしたと語ってくれた(この話をしながらまた涙ぐんだ)。

 ヒューマニティを強調しすぎると、下手をすれば‘虚飾’と考える観客もいるのでは?と質問をしてみた。

 彼は「私の友達にフランケンシュタインのような顔の音大教授がいます」という言葉で答え始めた。「その友達がピアノを弾くと、これ以上美しいメロディがあるのかというほどです。顔のイメージとは全く違います。私に関するよくない噂を聞いて、外国人のような顔を見て目が恐いとか、鼻が大きいとか偏見を持たないでほしいと思います。以前はこんな言葉も誤解されるのが心配で言えませんでしたが、40になったらそういうことも力を入れずに言えるようになっていいですね」。

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