【コラム】ドラマ春秋戦国時代

 あまりにもテレビにハマってしまい、ドラマの時間になると家にスッ飛んで帰るのは人間関係に支障をきたす。しかし、だからといってテレビを全く見ないと時代に取り残されてしまう。

 若者世代の流行やお笑い番組の人気コーナーで出てきたギャグが分からないと、即旧世代扱いされてしまうからだ。事実、テレビ番組だって見方を変えれば、各情報や娯楽の産室のように思える。そのなかで、常に熱狂し、失望しながら、自分も知らないうちに中毒になっている分野は断然ドラマだ。


 不倫や不治の病、出生の秘密がないとテレビの前に視聴者を集められなかったドラマは、非難を浴びながら終了するのが常だった。たとえ新鮮なスタートを切ったとしても、結局同じ道を辿らなければならず、新ドラマが始まったとしても、まるでありふれた“連続ドラマ”を見ているようだった。

 それが、いつのころからか、多彩なテーマや作品性を前面に出し、熾烈な競争を繰り広げる洗練されたドラマが登場するようになり、それこそテレビが“お茶の間劇場”になったのだ。

 クールになりきれないことを知っているのが本物のクールと語る『グッバイソロ』に続き、別れから始まるおかしな恋愛物語『恋愛時代』、春が訪れる街角を守り、心が揺れ動くハジケる恋の物語『春のワルツ』、ヤクザを裏切り逃亡の身になった男と正義感に燃える勇敢な女医の物語というちょっと陳腐な内容だが、神がかり的なヤン・ドングンの演技で目が離せない『Dr.ギャング』、運命に逆らえない別れと愛を描いたグリーン色の恋愛ドラマ『君はどの星から来たの』等々、家に帰るのが待ち遠しくなるようなドラマが満載だ。


 内容が新鮮であるのはもちろん、大物スターから映画監督まで投入され「善男善女はテレビの中にいる」と言っても過言ではないほど曜日別に甘い誘惑にかられる。

 少し前までは映画の中でしか見ることができなかった俳優を見る楽しみと現実で使われる味のあるセリフで武装したドラマが若い世代を引きつけている。

 以前は、映画で広いスクリーンに登場したら、狭いブラウン管のドラマには戻りたがらない俳優が多かった。しかし、今では感覚的な演出はもちろん、映画より映画的な内容で勝負し、韓流スターにまでしてくれる役割を果たしていることから、スクリーンのスターたちもドラマや映画に適宜出演スケジュールを調整するようになった。


 さらに、高視聴率を取れば、スターの価値はさらに高まりギャラはうなぎ上り。それを裏付ける演技力さえ備われば、新人俳優にもチャンスがあるのが最近のテレビであり、その先頭を行くのがドラマだ。

 先日、映画の助演をキャスティングするオーディションを行うため、候補に上がった女優の名簿と写真をあらかじめ監督に見せたことがあった。「連続ドラマで主人公の姉役を演じ、話題のミニシリーズでは主人公の妹としても出演していて、最近人気があります…」といくら説明してもテレビを全く見ない監督は誰が誰だか分からないとし、適当に決めてくれと言ってきた。「テレビをニュースやスポーツじゃなくて、ドラマを見るために付けているのか?」と、いかにも旧世代が言いそうな捨てゼリフを吐きながら。

そこで、すぐさま「何でそんなこと言うんですか。見ないと無能な上司になりますよ。たまには見てくださいよ」と反論した。世の中の出来事をニュースだけで確認する時代ではないということを強調しながら。


 相変わらず、テレビの一角では自分が捨てた娘を嫁に迎えるという常識的には理解しがたいドラマもヒットしているが、最近のように色とりどりでおいしそうなテレビドラマの食卓は、味わってみるに値する。

 美男美女の甘い恋物語だけでなく娯楽教養番組『スポンジ』で日常の常識を、法律クイズ番組『ソロモンの選択』で生活の法律を、『真実ゲーム』で様々な人生を送る人々の姿を見せてくれる機能を果たすテレビの役割に、「遺憾」ではなく、ひそかに「共感」を感じる今日この頃だ。

チョン・スンヘ(映画社アチム代表)

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