女性がボーカルを担当するモダンロックバンドは数多いが、Loveholicがファーストアルバムからヒットを飛ばせたのは、抜群のメロディ感覚があったからだ。ファーストアルバムに収録された『Loveholic』『遊びにおいで』『マジック』などの歌はロックとポップスの境界線を少しも外れていないのに、Loveholicのアイデンティティをしっかりと作り上げている。ファーストアルバムを出したばかりのバンドではとうてい成し得ないであろう業績をあっさりと達成した。
そしてセカンドアルバム。彼らは直線的なハードロックに好奇心を感じ、ファーストアルバムと正反対の音楽に賭けた。その結果、アルバム売上枚数は8万枚から3万枚に減った。失敗だったということはできないが、プレッシャーを感じただろう。サードアルバム『ナイスドリーム』の1・2番目の曲『日曜日晴れ』『チャラの森』を順に聞くと、そんな感じが否めない。
「今度のアルバムは軽やかで愉快な気分でレコーディングしました。それがファーストアルバムと似ている点と言えます。セカンドアルバムでは音楽に深みを与えたいという強迫観念が強かったようです。私たちは基本的にエネルギーより感性に根ざした音楽を信条とするグループなのに、です」(カン・ヒョンミン/ギター)
神秘さとたくましさを同時に併せ持つボーカルのチソンは『チャラの森』に一番愛着があるという。軽快なリズムに「私の始まりと私の終りを一緒にしよう」というリフレインが強烈な中毒性を持つ歌だ。『チャラ』とはチソンの夢の中によく出てくるどこかわからない針葉樹林とのこと。「森と湖がある楽園のような所なのに、現実でも日常に疲れた時、たびたび頭の中に思い浮かぶ所です。私の傷がすっかり癒えるような空間で、ファンとそんな気分を分かちあいたかったのです」
Loveholicの一番の力はカン・ヒョンミンとイ・ジェハクのずば抜けた作曲の実力。しかしあれ?と思うのはチソンの変わった声色だ。カン・ヒョンミンはチソンの声について「グラグラしてい不安定な感じがありながらも清涼感があっていい」と評する。
彼らは5月中に日本でデビューシングルをリリースする予定。イ・ジェハクは「日本では韓国とは違いファーストよりセカンドへの反応のほうがよかった。だからさらに大きな期待を持っている」と話す。「とりあえず日本の若い人たちに好まれそうなチソンの美貌は信じています」とのカン・ヒョンミンのジョークにメンバーみんなが笑った。