ピッタリとしたスパッツにミニスカートをはき、ショッキングピンクの携帯をいじくり回している、この都会的な少女(25才だが、彼女は‘少女’に近かった)が、モンペをはき、市場を歩き回るるボンスンだって?彼女はわずかの間でも山里から脱出して、最新の流行を満喫したがっているようだった。
MBCの週末連続ドラマ『本当に本当に好き』で大統領府の料理師として成功する江原道の山里育ちの娘、ヨ・ボンスン役を演じるユジン(25)。ニワトリを素手で絞め、口を開けば江原道なまりがポンポン飛び出す彼女の‘ずうずうしくすっとボケた’演技が最近話題だ。
注釈なしでは聞き取れない高難度の方言をすらすら口にする今の彼女から、女性ボーカルグループの元祖的存在だったSES時代、神秘主義に包まれていたスター姿を思い出すのは難しい。「江原道方言が本当にリアルだ」「違う」という論争がネット掲示板を熱くしているが、まずは彼女の演技の変身ぶりに合格点を与えようというムードだ。
「すごく迷いました。物まねみたいなことって本当にできないんです。江原道方言を話さなきゃならないというから、途方に暮れました。知っているすべての文明を捨てる気持ちでやりましたが、それが難しいのです」。ウサギのような大きな前歯の下から舌を出す。
それに田舍なんて近くに行ったこともないソウルっ娘、いや‘グアムっ娘’(ソウル生まれで小学5年生の時にグアムへ移民)だ。「撮影の時、生まれて初めて近くで牛を見ました。アヒルも初めて触りました」。ユジンは方言マスターのため、ドラマに友達として出演している女優、キム・マルスク(江原道三陟出身)と家で寝起きをともにしている。
デビュー10年目。違った姿を見せなければならないというプレッシャーが演技ににじんでいるようだと訊ねたら、「そうですかね・・・。そうしなければならない理由があるでしょうか?」とすぐ聞き返す。「別の生き方をしてみたいという気持ちに素直なだけです。山の娘から料理師まで、1つのドラマで2つの生き方を経験するのだから、もっと面白いです」。歌手と女優を兼業しているのもそういう理由だそう。「歌手は3~4 分間ステージ上で‘一発’決める快感は本当に最高です。演技はみんなで城を築く面白さがあります」
ふと気になった。1人の人の内面に1万もの姿を見出せるという恋は進行形なのだろうか?「ふふふ、恋はしていません」