俳優たちの大ヒット作症侯群・・・かえってプレッシャー

 視聴率も興行成績も「過ぎたるは及ばざるがごとし」?
 大ヒットドラマや映画が時として俳優には荷物になっているらしい。
 裏の業界用語で‘大ヒット作症侯群’。演技人生に一度あるかどうかという高い視聴率や興行成績、インパクトが強い作品を経験した俳優が、その作品が1つの大きな山になり、その後の活動に負担を与えることが少なくない。

★‘大ヒット作症侯群’を患った俳優は?




 去年『私の名前はキム・サムスン』神話を作り上げたキム・ソナは、ドラマ終了と同時に悩みが始まった。以前は一作品終わったら次の作品を選ぶのにプレッシャーはなく、演技の経験を積んでいったが、国民女優の仲間入りをしてしまっただけに次回作選びに慎重にならざるをえなくなった。ヒョンビン、チョン・リョウォン、ダニエル・ヘニーなど他の俳優が続々と次回作を決めるなか、キム・ソナは半年近くコンディションを整えてきたのはそのためだ。

 韓流スター、ヨン様には国際的になったドラマ『冬のソナタ』が越えなければならない山。 『スキャンダル』『四月の雪』などに出演したのにもかかわらず、いまだにペ・ヨンジュンといえば『冬のソナタ』のジュンサンとミニョンがまず思い浮かぶ。来年初め放映開始予定の大作ドラマ『太王四神記』に臨む覚悟は格別だ。

 『パリの恋人』のキム・ジョンウンやパク・シニャンもこうした過程を経てきた。キム・ジョンウンはドラマ『ルル姫』と映画『親知らず』が期待されたほどの数字を挙げられなかった。パク・シニャンも次回作を決めるのに普段より長い期間がかかった。

 チャン・ソヒは『人魚姫』で同じような難しさを経験した。チョン・ジヒョンは『猟奇的な彼女』のイメージをはらうのに時間が長くかかっているようだ。




 『王の男』のイ・ジュンギは一瞬にしてトップスターになってしまった状況で、これからコンギルのイメージがいつまで付いて回るか悩むことだろう。ドラマ『マイガール』が終わるとすぐに映画『フライ、ダディ、フライ』をすぐさま選んだのは、一刻も早くそれまでのイメージを消そうとする戦略のように見える。

 去年『バラ色の人生』『頑張れクムスン』で成功したチェ・ジンシルとハン・ヘジンも次回作で前作を上回る数字や全く違った演技を見せなければならないという宿題を抱えた状態。

 大ヒット作とはいえないが、作品のインパクトが並外れて強かった『不滅の李舜臣』のキム・ミョンミンも同様の悩みを抱えている。最近、次回作にコメディドラマ『不良家族』を決めたのは、李舜臣将軍のイメージを完全になくすための妙策と思われる。

 他とは違ったシチュエーションコメディ『アンニョン、フランチェスカ』のシム・ヘジンもいい例。バンパイアを登場させた独特の素材でマニア視聴者層を確保し、シーズン2まで続くほど話題になり、シム・ヘジンがワントップ主演として第2の演技人生を切り開く決定的な分岐点となった。しかし、フランチェスカのイメージが強すぎたせいかドラマ『宮』の序盤の演技でフランチェスカがオーバーラップしたという指摘が多く、少し悩んだこともあった。

 これ以外に『屋上部屋の猫』『天国の階段』『オオカミの誘惑』『パリの恋人』などでスターダムにのし上がったキム・レウォン、クォン・サンウ、カン・ドンウォン、イ・ドンゴンらも、まだ前作を上回るほどの作品を出せず、新作選びのたびに知らず知らずのうちにプレッシャーを感じている様子だ。キム・レウォンは最近、ピョ・ミンス監督のドラマ『君はどの星から来たの』の反応がよく、その結果が注目される。

★‘大ヒット作症侯群’を乗り越えた俳優は?




 こうしたなか、何人かのスターたちは前作以上の作品を送り出すのに成功、ベンチマーキングされている。

 チャン・ドンゴンは映画『チング/友へ』を越える作品があるか懸念されていたが、すぐに映画『ブラザーフッド』でそれ以上のものを見せてくれた。

 国民的ドラマ『宮廷女官チャングムの誓い』のイ・ヨンエも1年間チャングムのイメージを消すのに苦労しそうだといわれたが、次の作品『親切なクムジャさん』のクムジャイメージへ劇的に変身、あっという間に縛られたイメージから脱却した。

 最近ではハン・ソッキュが不朽の出世作である『シュリ』から抜け出せるか心配されたが、『淫乱書生』でなんとかその高い山を越えた。



 下手をすれば『冬のソナタ』のイメージに閉じこめられそうだったチェ・ジウもその後のドラマ『天国の階段』を成功させ、症候群から逃れられた。日本でドラマ『輪舞曲-ロンド-』が好評のうちに終わったのに続き、現在は映画『連理の枝』の韓日公開を控えるなど、自信に満ちた活動をしている。

 『星に願いを』でトレンディドラマ時代を切り開いたアン・ジェウクは長い間の沈黙を破り『オー!必勝、ポン・スニョン』で自由な俳優になったケース。

 超長寿ドラマ『田園日記』にレギュラー出演、イリョンのお母さん役として実生活でもそうではないかというくらい親しまれていた中堅タレント、キム・スミは映画『麻婆島』『大変な結婚』などでイメージチェンジに成功、第2の演技人生を花開かせた。

 しかし新しい作品に出演するたびに前よりいい演技で褒められたいというのは、やはりどの俳優にとっても同じ思いのはず。

 そういう意味で見ると、大ヒットを出したと大喜びすることも、低調だと失望することもないのが俳優という職業の魅力かも知れない。

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