「韓国と日本は、まだ複雑に絡まった歴史問題を抱えているけれど、音楽がそれを解いてくれるはず」
4年にわたり友情を育んできた韓国と日本を代表するロックバンドが全国ツアーを行う。90年代初め、韓国でヘビーメタルの全盛期をリードしたBlack Syndromeが、ヨーロッパ市場に進出した初の東洋のロックバンドBOW WOWと共に、ソウル、大邸、大田などを回るジョイントコンサートを行う。
2つのバンドの出会いは2002年に遡る。Black Syndromeのリーダー、キム・ジェマン(ギター/43)が大邸ユニバーシアード大会前に開催されたロックフェスティバルにBOW WOWを招待したのがきっかけだった。BOW WOWは当時、韓国のロックファンの情熱に惚れ込み、韓国を第2の活動拠点にする意欲を見せ、Black Syndromeが橋渡しの役割を果たした。
BOW WOWのリーダー山本恭司(ギター/50)は、「1998年の再結成ライブで、日本のファンの声援に感動したのと同じ経験を韓国でもした」と話した。Black SyndromeにとってもBOW WOWとの交流を深めることは“幸運”だった。「私たちがデビューしたとき崇拝していた先輩ロッカーで、年を重ねてもさらにパワーアップしているのをみると、たくさんの刺激を受けます」
ソウル、東京などで単発ライブを何度か行ったが、2組のバンドがツアーを行うのは今回が初めて。独島、教科書問題などで韓国を愛するBOW WOWメンバーも心を痛めているという。キム・ジェマンは「昨年初め、独島問題が波紋を呼んだ際、“竹島の日”を宣布した島根県が故郷の恭司さんがとても悩んでいた」とし「音楽と何の関係もない政治的問題のために、韓国のファンに音楽を聴かせることができなくなるかと心配した」と話した。
結成30年を迎えるBOW WOWは、日本ロック界の伝説的存在。その中心にスピード感溢れるサウンドを生み出す山本恭司がいる。山本恭司のギター哲学はこうだ。
「速く弾いたり、華麗なテクニックを見せるのは、そんなに重要なことではありません。音符にどう感情を込めるかが一番大事なことでしょう。微妙な感情を音に込めることができたら、たった2つの音でも人の心を動かすことができます」