【記者手帳】最近の歌は皆同じ

 「最近の若者の歌はどれもみんな同じで、なんだか区別が付かない」

 こんな「最新の流行歌」への嘆きは、数十年前から年配者が常に口にしてきたものだ。言い換えると「心が老いた」という告白でもある。ところで、最近の状況をみると、そんなに単純な問題でもなさそうだ。子どもも大人もみな「最近の歌は同じ」と愚痴をこぼす。

 その時々の若者の歌の好みを反映する主な歌謡ランキングを見てみよう。3人の作曲家が10位圏のヒット曲を“独占”している。『言いにくい言葉』『男らしく』『会うのはよそう』(以上キム・ドフン)『GRACE』『愛の塵』(ファン・ソンジェ)『太陽の涙』『女の香り』(チョ・ヨンス)… 。

 SG WANNA BE、キム・ジョングク、そしてこれら歌手たちとよく似たグループが競って発売するアルバムからは、いくつかの同じ名前を見つけることができる。作曲家はもちろんのこと、ギター、ベース、ドラム演奏者も数多くの歌を渡り歩いている。だからどれも“公式通りの歌”と批判されるのだ。

 もはや歌は企画化された原料を投入し、同じ工程を経て作られる“工業製品”と変わらないという主張まで出ている。大手芸能企画社は、作曲して演奏しながら歌うシンガーソングライターやミュージシャンには興味がない。ルックスと声という“原材料”を入れて“工程”に沿って加工するだけなのだ。

 だからだろうか? 昨年にはCMソングから人気が出て歌謡界を狙う“珍現象”まで起こった。「父は言っていたものさ、人生は楽しめって」で始まる現代カード“Wソング”は人々が思わず口ずさみ、最近ではデジタルシングルにもなった。

 5日放送されたSBS『生放送人気歌謡』。イ・スヨン、イ・スンギ、SS501、スーパージュニアなど当代の人気歌手が勢揃いしたが、自分の作曲した歌を歌う人は誰もいなかった。

 ナ・フナ、チョ・ヨンピル、ソテジ、キム・ゴンモ、シン・スンフンなど韓国の傑出した歌手たちは曲を書き、歌を歌い、さらには“個性”があったが、今ではこういう人たちはほとんど見かけない。

 “歌手”がいないから世代を越えて大衆を一つにする“歌”がないのも当然だ。「歌手だけの歌」ではなく「私たちの歌」はもはやなくなってしまったのか。

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