「『王の男』の話はやめて・・・死ぬほど羨ましいから」
ヌンチャクを振り回して奇声をあげブルース・リーに憧れていたクォン・サンウが帰って来た。今度はジャッキー・チェンだ。ジャッキー・チェンのトレードマーク、マッシュルームヘアで13年間つきあった女友達を「彼女」として受け入れようとする。
クォン・サンウは今月23日封切の映画『青春漫画』(イ・ハン監督、ポップコーンフィルム製作)でジャッキー・チェンのようなアクションスターを夢見るスタンドマン志望の役を演じる。『同じ年の家庭教師』で共演したキム・ハヌルと再び純愛映画に出演するのだ。
すっかり春の気配となった3月のある日、ソウル三清洞のカフェでクォン・サンウに会った。
◆ジャッキー・チェンに憧れ、同い年に恋
1976年生まれ。ブルース・リーの『ドラゴン怒りの鉄拳』よりもジャッキー・チェンの『酔拳』のほうになじみがある年齢だ。同じ世代の男の子たちはみんなクォン・サンウの幼い頃のようにジャッキー・チェンに夢中になった。しかし他の子供がジャッキー・チェンの映画を見て胸を張っていた頃、クォン・サンウは本当にジャッキー・チェンのようになることを願っていた。
「もっと年を取ったら演じられない作品だと思ったんです。『マルリュク青春通り』でブルース・リーに憧れる高校生を演じたから、ジャッキー・チェンに憧れる役も演じてみたいと思っていました」
『青春漫画』でジャッキー・チェン世代のクォン・サンウは、ジャッキー・チェンが映画でできなかったことまでやってのけた。それは恋。実はこの映画のテーマはジャッキー・チェンに憧れる青年がある日ふと単なる女の友達から女性を感じるところにある。
\"『マルリュク青春通り』や『美しき野獣』に比べて小品のような感じもあります。しかし心安らぐ感じを与える映画がやりたかったんです。こういう映画はもっと年をとったらできないと思ったから」
キム・ハヌルとの共演は2回目だからプレッシャーもかかるだろうと思いきや、彼は首を横に振った。2人の再会は結婚説が流れるほど話題になったが、全然気に止めていない。
「『同じ年の家庭教師』が終わってからすぐだったらプレッシャーになりました。しかしもうある程度時間も経ったし、また2人が共演することに期待したり懐かしがったりする人も多いと思います」
この映画ではキム・ハヌルとのキスシーンは1回もなく気持ちだけで表現した。コメディ映画にラブストーリーがついているのではなくて、恋愛映画にコミカルな部分がある、というのが クォン・サンウの説明だ。
◆率直なあまり誤解されることも・・・いい作品で応えたい
クォン・サンウは率直だ。言葉をつけ加えることはあっても、抜くことはめったにない。率直な姿勢はときどき誤解を生む。だからだろうか、アンチ派がいない俳優だった彼だが、最近はファンと同じくらいの数のアンチ・クォン・サンウがいる。
\"率直なあまり損もたくさんします。ありとあらゆる噂をうんざりするほど聞いていますし。しかし僕のイメージをもっともらしく飾るよりも率直に生きたいんです。自分を欺いて生きたくはありません」
いい作品を追い求める理由はまさにここにある、とクォン・サンウは言う。
「僕は、みんなに思われているよりも純粋だと思います。僕のことを本当の僕と違っていると考える人たちの視線のせいでつらい時もあります。それが仕方ないということもわかっています。だからいい作品に出たい。僕に対する偏見を作品を通して直したいんです」
「『王の男』の話はもうやめてほしい。死ぬほど羨ましいから」とサラッと言ってしまう俳優。それがクォン・サンウだ。
そんなクォン・サンウが憧れる俳優がいる。チャ・スンウォン。2人ともモデル出身で、肉体派なことと率直なところがよく似ている。
「チャ・スンウォンは憧れの俳優です。目標といったほうがいいですね。似ているところも多いし。演技でも放送でもみんなに認められている魅力的な俳優でしょ。たまに電話で軽いノリで『共演しようよ』っていうんですが、最近は本当に一緒に作品に出たいですね」
◆俳優とスターの中間
クォン・サンウは俳優よりスターというイメージが強い。自らも俳優とスターの中間地点に置かれているという。30代になった今、クォン・サンウは曖昧になったアイデンティティを誰よりよく知っている。
「僕はソル・ギョング、ソン・ガンホ、パク・ヘイル、チョ・スンウのような演技派じゃありません。またカン・ドンウォンやイ・ジュンギのような美少年でもない。30才で美少年なんていったら変でしょ。だからもっといい作品に出たいんです」
前は思わなかったが、最近は舞台あいさつをする時に来てくれた観客を見ると感激を押さえきれない、とクォン・サンウはいう。それほど俳優としての位置をしっかり固めたいということだ。
\"チャン・ジン監督やキム・ジウン監督、ポン・ジュノ監督と一緒に作品を作りたいですね。だけど台本があまり来ない。本当です。作品の噂を聞いて訪ねていくんですから。台本が数十冊も山積みになっているなんて話を聞くと、本当に羨ましい」
やっぱり率直だ。ついでに結婚説も聞いてみた。
「結婚は僕の人生で一番大切なことじゃないですか。父を早くに亡くしたから温かい家庭にとても憧れます。誰かと結婚することになったら正式な場で発表します。それでこそたくさんの人々に祝福してもらえますから」
今年、クォン・サンウには壮大な目標が1つある。「宿願」と表現するドイツ・ワールドカップ・サッカーの応援だ。現地にいる友達の助けを借りて、人に気づかれないように変装して応援するというのが彼の宿願だ。
今夏に日本のドラマに出演する以外は特にスケジュールを組んでいないのも、まさにそのためだ。