真っ黄色のシャツと蛍光色の緑のジャンパー。遠目にも一目で分かった。『冬のソナタ』のユン・ソクホプロデューサー(49)。これまでにも『秋の童話』『夏の香り』を手がけたユン・ソクホプロデューサーが、今度はドラマ『春のワルツ』(3月6日KBS放送)を演出する。季節シリーズの完結編だ。ユンプロデューサーはすっかり春色の装いだった。
「小さいころから色に敏感でした。緑色ばかり着て“ミドリ”と呼ばれたり、赤い服にこだわって“アカ”と言われたりしました」
ユンプロデューサーは、新ドラマについても色の話を持ち出した。「今回のドラマのカラーはピンクです。春を感じさせ、ロマンスとファンタジーの象徴でもあります」。『秋の童話』は黄色と赤、『冬のソナタ』はホワイト、『夏の香り』はブルーとグリーンがテーマカラーだった。
今回の『春のワルツ』は、幼少期に韓国南海岸の島の村で一緒に育った少年と少女がオーストリアで再開し、心の傷を癒していく物語だ。幼少期の追憶や純粋な愛が、美しい自然を背景に繰り広げられるというところが前作と似ている。
スピーディーな展開のトレンディードラマが主流ななかで、ユンプロデューサーはゆったりとした呼吸の恋愛ドラマを作った。「退屈でつまらないという一部の指摘、私もよく知っています。しかし素朴なそばを売っていて、よその店がスパゲティーを売っているからといって自分も同じようにしたくありません。今回の作品の基本的な骨組みは似ていますが“スパイス”は変えました」
ユンプロデューサーは「クールでワイルドでシニカルなのがカッコよく、おとなしくて真面目なのが野暮ったいと受け止められる風潮は私に合わない」とし『春のワルツ』が日本での興行を狙った「日本適応型ドラマ」という一部の見方も否定した。
南怡島、宝城のお茶畑など韓国の美しい風景を収めたユンプロデューサーは、初めて海外ロケを行った。ドラマ前半で男女が出会うシーンをオーストリアで撮影し、韓国莞島の島、青山島で残りを撮影した。「撮影してみると、青山島は本当に美しく、オーストリアが青山島を引き立たせるための前菜になったように思えました。韓国の山河は本当に美しいです」
“元祖韓流監督”としてスタープロデューサーの地位を固めたユンプロデューサーだが、今回ばかりは“スターの力”の壁を思い知らされた。ユンプロデューサーは「韓流のおかげで国際的スターが増えたが、国際的なマナーを身に付けたスターはほとんどいない」とし、キャスティングの難しさを振り返った。トップスターの起用が思うようにいかず、ソ・ドンウ、ハン・ヒョジュ、ダニエル・ヘニーなど新人を思いきって起用した。特に、ダニエル・ヘニーは脚本になかった役を新たに作ってキャスティングしたというほどで、取り分け期待が大きい。
50歳を目前に控えたユンプロデューサーは、今でもロマンスを夢見ているという。「結婚していないから、私のドラマには今でもファンタジーが息づいているのかもしれない」と笑った。「数日前『私の娘が結婚します』という親友からのメールをもらい、ビックリしました。私がもうそんな年になっていたなんて。それでも、私は遠足に行く前の日にワクワクした少年の心を今でも持っています」