某有名女優、銭湯で脚本家の背中流しロビー活動

【韓流ドラマ大解剖⑧】ドラマ制作における脚本家の地位


 中年の某有名女優はいまだにドラマの脚本家と銭湯に行く。「一緒に行って背中を流して打ち解けてこそ、脚本家の先生が次回作でも私を使ってくれるから」と。また他の脚本家は某放送局のアシスタント・ディレクターと「一緒に仕事ができない」と担当局長に不満を漏らす。撮影中、アシスタント・ディレクターが「ドラマに小道具として出る食べ物を包んで家に運べ」という脚本家の要求を断ったという理由だ。

 もちろんこれは一部の「売れている」脚本家たちの話だが、競争力のある脚本家のランク自体が急上昇している。ドラマ『新入社員』を制作したLK制作団は脚本家のイ・ソンミ氏とキム・ギホ氏夫婦が作った制作会社。『愛を君の胸に』『星に願いを』『バリでの出来事』の台本を書いた2人は『新入社員』や『甘いスパイ』では脚本家兼プロデューサーを務めた。『ホジュン』や『オールイン運命の愛』を書いたチェ・ワンギュ氏も『宮廷女官チャングムの誓い』のキム・ヨンヒョン氏、『チェオクの剣』のチョン・ヒョンス氏とともに『Aストーリー』という制作会社を作った。

 「とりあえずいいストーリーがあれば、後は自然についてくる」という判断からだ。いい脚本家に恵まれればプロデューサー10人でもかなわないということだ。制作現場でもそのパワーは凄まじい。人気脚本家は主役や準主役のキャスティングやロケの場所まで指定する場合が多い。

 プロデューサーの固有権限だが、プロデューサーもよほどの決断力がなければ脚本家の意向に逆らえない状況だ。俳優が自分の役のキャラクターに不満があると、プロデューサーではなく脚本家のところに行って「私の役に配慮してくれ」と泣きつくこともある。

 しかしすべての脚本家がこうだという訳ではない。韓国放送作家協会はドラマ脚本家の数を 300~400人と推算している。

 このうち単発ドラマでも作品活動している脚本家の数は100人あまり。この100人が韓流のトップを切る韓国ドラマをリードしているのだ。このうちミニシリーズや週末ドラマ、連続ドラマといった主なドラマを執筆する脚本家は20人前後に過ぎない。仕事が偏るため脚本家の両極化も深刻だ。A氏も10年近い経歴を持つが、ここ数年で1本300万ウォンほどの単発ドラマ数本を書いた他は特に活動がなかった。所属会社がある脚本家はそれでもましな方。放送局の公募で入賞しても何年も仕事がない脚本家のほうが多い。

  既婚の脚本家の場合は配偶者が生活費を稼ぎ、未婚の場合は他の家族に養ってもらうケースもある。こうした人々は食べていくために社報や雑誌に寄稿する「日雇いライター」をしている。それでも夢は捨てていない。「脚本家という名刺を持っているのだから、いつも文章を書かなければならないという脅迫観念を持っている。それは職業と同時に夢でもあるから」

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