「この設定とこの展開。前に見た気がするんだけど…」

【韓流ドラマ大解剖⑤】ドラマ脚本家の勢力地図


 この世に全く新しい物語などない? 脚本家という仕事は、その本質が常に新しい物語を創ることとは言うものの、どうしても「誰々のドラマと似ている」という評価がつきまとう。韓国のドラマ脚本家たちの間には、どんな共通点があり、またどれくらい違いがあるのだろうか。次に示すのは、韓国のドラマ脚本家の業界地図だ。

◆涙の力、新派は生きている-キム・スヒョン、ムン・ヨンナム

 還暦を優に越えてもなお原稿料トップを誇るキム・スヒョンは、コミカルなホームドラマから壮絶な復讐劇、お涙頂戴のメロドラマまで数多くのジャンルを開拓しながら、たくさんの後輩たちに影響を与えた。ある時は機関銃のような、またある時はトゲを刺すようなセリフがキム・スヒョンのトレードマーク。

 キム・スヒョンの新派的(ここでの新派は世俗的な人情劇といった意味)な感性はムン・ヨンナムがそのまま受け継いだ。『愛情の条件』『バラ色の人生』など「裏切り-不治の病-和解」で構成されるドラマプロットはキム・スヒョンの『砂の城』を連想させる。

◆突飛で、同時代的な感覚を持つ女流脚本家-ソ・ヨンミョン、イム・ソンハン

 ソ・ヨンミョン(『かけがえのない我が子』)、イム・ソンハン(『天よ』『人魚姫』)の作品は、時代の常識を越えた複雑な人間関係を描く。継母の前で娘が水の入った瓶を割り、継母を平手打ちしたり、自分が捨てた娘を自分が育てた息子と結婚させようという母親が登場する。「くたばっちまえ」(『青春の罠』)のようなセリフを使うキム・スヒョンの一面が拡大再生産されている。

 「江南で流行りの健康食品店」のような具体的な設定で、大衆に「羨望意識」を植え付けるのも特徴。

◆人生への愛情、ヒューマニズム系―パク・チョンナン、チョン・ソンヒ

 70年代末~80年代初めに活動を開始した脚本家は、人間臭さの溢れる作品が特徴だ。パク・チョンナン(『垣根の下の鳳仙花』))、イ・グムリム(『昔の芝』)、キム・ジョンス(『あなた、そして私』)キム・ウンギョン(『ソウルトゥッペギ』)など。今だその筆は健在だ。

 チョ・ソヘ(『若者のひなた』)、チョン・ソンジュ(『おばさん』)、チョン・ソンヒ(『局戯』)、パク・ウンリョン(『2回目のプロポーズ』)などが系統を受け継いでいる。

◆英雄ものや宮中争い、歴史の再解釈―イ・ファンギョン、キム・ヨンヒョン

 時代劇は男性脚本家が優位を占める。『朝鮮王朝500年』のシン・ボンスン、『張禧嬪』のイム・チュンに続き、イ・ファンギョン(『太祖王建』)とチョン・ハヨン(『明成皇后』)が2大山脈だ。『許浚』、『商道』などの英雄ドラマに集中しているチェ・ワンギュは、イ・ファンギョンと類似しており『女人天下』『武人時代』のユ・ドンウンはチョン・ハヨンに近い。

 『宮廷女官チャングムの誓い』(原題『大長今』)で繊細感を加えた女性版英雄劇を創ったキム・ヨンヒョンは、将来最も期待される時代劇専門の女流脚本家。『第4共和国』『第五共和国』のユ・ジョンスは現代ドラマ専門だ。

◆大衆より自分の価値観を優先、新世代作家群-ソン・ジナ、キム・ドウ

 『余命の瞳』『砂時計』のソン・ジナは386世代の歴史認識を画面を通じて形象化し、驚異的視聴率を導いた。『バカみたいな愛』のノ・ヒギョン、イン・ジョンオク(『勝手にしやがれ』)、キム・ギュワン(『ピアノ』)、イ・ギョンヒ(『ごめん、愛してる』)、キム・ドウ(『私の名前はキム・サムスン』)が合流し、主流に成長した。

◆楽しく明るいトレンディードラマの進化

 イ・ヒミョンは92年『嫉妬』以降始まったコミックタッチのトレンディードラマの典型を確立した男性脚本家。イェラン(『女子万歳』)キム・イニョン(『結婚したい女』)などはチュ・チャヌク(『女は何で生きるのか』)が見せたフェミニズム的視覚まで加えた。

 新人キム・ウンスク、カン・ウンジョンは『パリの恋人』で病みつきになるファンタジーを、ベテランのキム・ギホ、イ・ソンミ夫婦は『バリでの出来事』などでジャンルが入り交じった独特なスタイルを見せ、“台風の目”となった。

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