【インタビュー】真のボーカリストに変貌を遂げたイ・スンギ


 歌手イ・スンギ(19)は運の良い青年だ。その根拠は二つある。ともかく歌唱力があり、バンドボーカルとして活動した2003年、勉強だけすると決心して大学路(テハンノ)で最後のコンサートを行った際、イ・ソニの目に留まって熱心な指導を受けた。「姉さんは俺の女」と歌う1stアルバムのリードトラック『俺の女だから』は年上女性のカップルが増える社会的状況と合い重なって大ヒット、2004年の音楽賞新人賞を総なめにした。

 自らも「本当にラッキーな奴だと思う」と話すイ・スンギ。しかし、最近リリースされた2ndアルバム『CRAZY FOR YOU』から感じられるのは「実力」、そして端整な顔立ちの芸能人から真摯なボーカリストへの「変貌」だ。

 「歌手にとって一番大切なものは真心ということを悟りました。真心を込めて歌ってみると、いろいろと変わりました。多くの方から声が成熟して男らしくなったと言われるのは、そのためのようです」

 スマートな黒のスーツを着て現われた彼は控え目だった。182センチの長身とは不釣合いだった。しかし、若くても信念はしっかりと持っている。「似ているようでも99と100の違いは大きい。99に向けて走る人は余裕があるが、100を目指して走る人は常に緊張を欠かさない。一瞬たりとも機会を逃したくない」



 今回のアルバムが注目されるのは自分だけのカラーを見付けた彼の歌声ためだけではない。強烈なロックビートとバラードの共存がアルバムで表現されている。イ・スンギは『CRAZY FOR YOU』『仮面』といったロックナンバーに対する愛着が強かった。本人は「イ・スンギがこんな曲も歌えるんだということを見せたかった」と語った。

 高校時代、クラスで1、2位を争う成績を誇ったという彼は、名門大学に入学して建築家を夢見た。そのためイ・ソニの誘いを簡単には受け入れにくかった。「人生で一番楽しくできる仕事は何か?」。悩んだ結論は「歌で生きていくこと」だった。

 テクニックを重視するR&B唱法が横行する最近、品があり型にはまらない彼の歌声は希少価値が高い。「テクニック重視になれば感情をすべて表現できません」

 昨年、MBCテレビのシチュエーション・コメディ『ノンストップ5』に短期間だが出演したことは、他人に対する態度に大きな変化をもたらした。

 「アーティストはステージの上から観客を見下ろすことが多いです。カメラ、照明、音響は一人の歌手だけのためにやってくれます。なので普段から肩の力が入っていました。スターとして意識するのです。短いドラマ出演は、こうした誤った姿勢を改めさせる機会でした。人々が行き交う街中でも、 誰もいない森の中でも演技をしなければならないのですから」

 前作に比べて今回の2ndアルバムで自分だけのスタイルを確立した彼にとって師匠イ・ソニとはどんな存在なのか?「どんなジャンルの曲を歌っても自分なりに解釈できる歌手です。韓国にそんな歌手がどれだけいるでしょうか?その存在は自分にとっては自負心ですが、累を及ぼすのではないかと心配することが多いです」

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