韓国のダンス系アーティストが今、全世界の注目を集めている現象は偶然ではない。ダンス系音楽が1つのジャンルとして定着してから20年にもならず、米ポップ市場進出を目前に控えた状況は先天的気質と後天的努力の絶妙な融合が遂げた結果とも言える。韓国音楽界の多くの専門家が口にする韓国ダンス音楽成功の秘訣を紹介する。
▲歌は「聴かせる」のではなく「見せる」ものだ
「音楽は短時間にインパクトを与えなければならないが、言語的な問題のため韓国の歌が世界でヒットするのは簡単ではない。そのため目で見て感動することができ、歌詞の伝達よりもビジュアルとメロディー中心の音楽で市場に出さなければならないと思った」
こう話すのは多くの韓流ダンス音楽のスターを育てたSMエンタテインメントのチョン・チャンハン氏。
HOTが中華圏の若者を魅了することができたのは、今まで見たことのなかった派手なステージとダンスのためだった。Rain(ピ)、SE7ENが人気の日本のファンは「激しいダンスと相反するルックスが一番の魅力」と口を揃える。BoAが日本の同世代のダンス系アーティストより格段にリードしている部分はダンスの動き。 大手プロダクションが過去に世界化の可能性がある音楽の一要素を選んで「拡大生産」したことが良い結果をもたらした。
▲ブラックミュージック信仰が韓国的ダンス音楽を生んだ
90年代後半以降、世界のポップ市場の主類はブラックミュージックの一つであるヒップホップへと変わった。盗作疑惑を受けながらも韓国のプロデューサーたちは熱心にこれを研究し続けた。評論家らは「韓国のダンス音楽は米国のブラックミュージックを韓国式に再解釈したもの」と話す。音楽先進国である日本でも発音などが弊害になり、R&B、ヒップホップといったジャンルでは韓国よりも不利だという評価を受ける。
元ソテジワアイドゥルのメンバー、イ・ジュノは「韓国人特有の恨(ハン)が黒人たちが言うソウル(soul)と似ているようだ。また、恨みを晴らすためにすべてを忘れるという伝統が今日のダンスに対する素質に繋がっているのでは」と話す。
新しいものをすぐに取り入れる韓国人の習性も一役買った。絶えず最新の音楽を模索しながら、海外の流行を柔軟に取り入れることができた。中華圏や東アジア各国は欧米のブラックミュージックには距離間を感じても、似ている顔つきをした韓国人アーティストが見せるステージにはすぐに順応できる。彼らにとって韓国のダンス系アーティストは最新の音楽を手軽に伝えるメッセンジャーとなるわけだ。
▲大型プロダクションの資本力とストリートダンスの融合
SM、JYP、YGエンタテインメントといった大型プロダクションは、デビュー前の新人アーティストを訓練させるため、月に1000万~2000万ウォンを投資する。歌、ダンス、話術などさまざまな教育がされる。歌手を一人育て上げるまでに2~3年かかるため、ダンス系の歌手一人にかかる額は基本的に2億~4億ウォンになる。
また、巨大プロダクションが中心となり、アンダーグラウンドに属していたストリート系ダンサーを振付師として起用したこともダンス系アーティストのレベルを上げるきっかけになった。
ビーボーイ劇場のチェ・ウォニョプ社長は「3000人にもなる韓国のビーボーイたちが、韓国のダンス音楽界のあちこちで重要な役割を果している。米国で始まったがアンダーグランドで韓国的に解釈したダンスがダンス系アーティストを通じて再び世界へ広がっている」と話した。