「似たもの探し」韓国全国民4000万人が熱狂


 生物学専門研究情報センター(BRIC)ならばともかく、インターネット上のデジカメ同好会「DCインサイド」科学ギャラリー会員たちが、黄禹錫(ファン・ウソク)教授の2004年論文のES幹細胞写真と他の論文の受精卵幹細胞写真が酷似しているという疑惑を最初に提起したのは、確かに驚きだ。韓国人には「似ている写真を素早く見つけ出す」遺伝子でもあるのだろうか?少なくとも韓国ネチズンたちは「画像イメージ」を見極める目がよく利くことだけは事実のようだ。2005年は「似たもの探し」が韓国全国民の遊びになった1年だった。

◆情報の海からジグソーパズルのピースを探せ

 今、大韓民国は「似たもの探し」という一種の巨大なパズルにはまっている。「パズルのピース」はポータルサイトとミニホームページといわれる個人HPにあふれる様々な多数の写真。その写真をあちこちに並べて似ている組み合わせを見つけ出すのが「ゲームの法則」だ。

 ブームの初めの頃はあるタレントのデビュー前と後の写真を比べたり「コメディアンのリ・マリオとイケメン俳優のイ・セチャン」「歌手MCモンとレスリング選手チョン・ジヒョン」のようにだれが見ても似ている有名人の顔写真を並べて比べるくらいだった。ところがネパラッチ(ネチズン+パパラッチ)の目はだんだんよく似た姿かたちやポーズをピックアップして比べるところまで来た。

 「イ・ヒョリのアルバムジャケット写真が日本の歌手、安室奈美恵のジャケットに似ている」「女優チョン・ジヒョンの『100万ドルのプロポーション』広告写真はスーパーモデルのジゼル・ブンチェンの写真を真似した」という事実もネパラッチによって暴露された。それぞれ違う時間、違う場所に同じ服を着て現われたタレントたちの写真も否応なく比較対象になる。「似たもの探し」が流行るとポータルサイト「ネイバー」やKBSテレビの人気番組「想像プラス」には似たもの写真を募集して紹介するコーナーまでできた。


◆視空間を超越、限界なし
 「似たもの探し」ゲームの土台は1人1人の観察力。あるネチズンは香港でバス広告の男性の写真を撮ってコメディアンのユ・ジェソクと比べたり、また他のネチズンは警官殺害容疑者の検挙を伝えるSBSニュースキャスターが、その容疑者に一見似ているように見える、とネットにUPした。

 数十年という時間を飛び越えた写真も登場した。ベテラン女優サ・ミジャ(65)の若い頃の写真とキム・テヒの最近の写真を並べたらまるで姉妹のようだ。こうした比較ができるのもインターネットのネットワーク上では過去のイメージと現在のイメージが同じテキスト上に置かれるからだ。

 比較対象は少なくとも「人間」や「生物」でなければならないという既存の固定観念もずいぶん前になくなってしまった。コメディアンのチョ・ジョンリンと人形の写真、ピ(rain)と子犬の笑った目を比べた写真、エリックとマンガ『スラムダンク』の主人公・桜木花道の写真もどんどん俎上に上がる。印刷技術の普及以来、人類が「グーテンベルク・ギャラクシー(文字の宇宙)」に住むようになったというなら、デジカメの普及以来、私たちの住む所は「イメージの宇宙」のど真ん中だと実感する。

 文化評論家キム・ドンシク氏の話「デジカメとフォトショップが一般的になってネチズン個人のレベルでイメージの生産・操作・送信が可能になり、『イメージ』が遊びの対象になった。似たもの探しブームはこのようなマルチメディア時代の可能性が極大化して誕生した新しい遊びのルールで、1人が完成させるものではなくネチズンたちの協力を経て自己増殖していくという点でデジタル時代の新文化生成体系だ」

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