【レビュー】『波浪注意報』は原作『セカチュー』を超えたか


 病室の透明なカーテンを挟んで口づけを交わした少年と少女。少女は不治の病に侵されている。直接互いの唇に触れたわけではないが、死を予感した無垢な恋人たちの心は地獄も同然だ。

 巨済島の海辺の町に住む高校2年のスウン(ソン・ヘギョ)とスホ(チャ・テヒョン)は同級生。高鳴る感情から生まれた愛は、魂が崩れ落ちるような経験で終わりを迎えてしまう。時が流れ記憶が薄れても、傷ついた魂は消えない。そんな初恋を描いた作品だ。

 『波浪注意報』(22日韓国で公開、監督:チョン・ユンス)の制作意図は上述の通り。ソン・ヘギョはテレビ同様に清純なイメージで現れ、チャ・テヒョンもいつものキュートな姿を見せている。そのうえ誰しも一度は経験したであろう心うずく初恋の話。にもかかわらず、残念なことに『波浪注意報』には魅力を感じることが出来ない。

 最後まで純愛と一途さを強調するこの映画は、ありがちなストーリーから典型的なキャラクターに至るまで、観客の予想の範囲を超えることができず、重い印象だった。原作の小説(『世界の中心で愛を叫ぶ』)が日本で200万部を超える売り上げを記録したことや、同名の日本映画が既に韓国でも公開されていることだけが理由とはいえない。演出と演技の解釈により映画のできが変わる場合が多いからだ。葬儀屋を営むスホの祖父(イ・スンジェ)の初恋など、オリジナルの設定がないわけではないが、大部分がこのジャンルの慣習にのっとっている。安全なラストに仕上げようという考えが支配したのではなかろうか。

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