【インタビュー】『波浪注意報』で映画デビュー果たしたソン・ヘギョ


 ソン・ヘギョの初映画『波浪注意報』を見る前に知りたかったことは、「なぜ映画に進出したのか?」ということだった。映画を見て更に知りたいことが一つ追加された。

 彼女はなぜ媒体を変えてまで似たようなキャラクターをまた選択したのか。人によっては相変らず生き生きとしたキュートな姿に見えるが、ある人には食傷気味に感じられる初恋の少女役を。

 まず後者に対する彼女の答えはこうだ。「自分の力量は自分が一番よく知っています。なので私が一番上手に出来ることでスタートを切りたいと思いました。正直に言って今回も大役を求めるキャラクターではないでしょう。映画は経験もないし、中途半端な姿は見せたくありませんでした」



 一気に話すはっきりとした声。予想外だ。まだ20代初めの女優から、これほどまで冷静な自己分析を聞けるとは思わなかった。『波浪注意報』は日本で251万部を記録したベストセラー小説であると同時に映画化された『世界の中心で、愛をさけぶ』が原作。日本の中学校3年生の少年、少女の悲しい恋物語は巨済島に住む高校2年生同士の初恋に移された。

 かわいく優しいうえに勉強まで出来る優等生スウンがソン・ヘギョの役だ。不治の病でヒロインがこの世を去る設定は『世界の中心で、愛をさけぶ』と同じだが、ソン・ヘギョは一貫して明るく元気でスクリーンを闊歩する。ドラマ『秋の童話』(2000)のウンソ、『オールイン』(2003)のスヨン、『フルハウス』(2004)のジウンの姿が重なる。「一番上手にできる役を選んだ」という言葉が確かに当てはまっている。

 テーブルの上に置かれたコーヒーカップの底が見え始めた頃、素直な彼女は再び予想外のことを言い出した。ソン・ヘギョは「飽きた」と言う。「『オールイン』までは私のキャラクターに近かったでしょう。私が楽しくないのに、見る人は尚更だったでしょう。『サンシャイン・オブ・ラブ』(原題『日の光零れ落ちる』、2004)では少し変わりはしましたが、結局ドラマのキャラクターはすべて似ていると考えるようになりました」



 一度始まった話しは、どんどんと進んでいき、一番目知りたかったことも同時に解決した。

 同世代のキム・テヒ、ソン・イェジン、チョン・ジヒョンの活発な活躍もスクリーンデビューのきっかけとなり、今年は旅行の時も10~20冊ものシナリオを持って行き読破したという。変身に対する欲望と才能に対する冷静な判断の間で彼女の選択は『波浪注意報』だったということだ。

 「映画界が『ドラマ出身者は映画での演技は下手』という偏見を持っているのでは?」という質問には「100人がいて全員から認められることは難しいでしょう」とうまくかわされた。美しさに対する褒め言葉には「私はコンピューターで使ったような美人でも、きれいな顔でもありません。メイクによって違う顔を見せることが出来る女優という褒め言葉を聞いたことがありますが、その時が一番うれしかったです」と答えた。

 24歳ソン・ヘギョのスクリーン人生は今まさに始まったばかりだ。自らが語るように、次回作からは段階別に変わる彼女に会えるだろう。しっかりとした受け答えを聞きながら、彼女がこれから演じていく姿が非常に楽しみになった。

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