これ以上の戦いはないだろう。
日増しに女優が単独で主演する映画が減ってきている昨今、主演女優のノミネートは「頭数を揃える」ケースが多い。
しかし、今年は180度状況が異なっている。
映画賞の華である主演女優賞のトロフィーをめぐり、凄まじいプライド対決が繰り広げられることが予想される。
どの候補者も優劣付け難いことから、早くも関心の的になっている。
『恋愛の目的』カン・ヘジン:パク・ヘイルとW授賞?
『恋愛の目的』のカン・ヘジンは、自他共に認める映画祭の常連。ずば抜けた演技力で、これまでにもらったトロフィーの数は1つや2つではない。2003年『オールドボーイ』で助演女優賞を受賞してから青龍との縁が始まり、『恋愛の目的』で主演女優としての地位を確固たるものにした。興行と作品性の両方に優れた同映画で、カン・ヘジョンはリアルな恋愛物語をより一層リアルに演じ、絶賛された。
『親知らず』キム・ジョンウン:恋愛映画もコメディーのように上手く消化
キム・ジョンウンは『親知らず』でこれまでのイメージからの大変身に成功した。これまでコメディー専門女優として親しまれてきたキム・ジョンウンは、『親知らず』で19歳の高校生を愛する塾講師に挑戦した。愛と記憶に対する切ない心を繊細に描いた同映画で、キム・ジョンウンは初恋の人に似た年下の男の子と恋に落ちる女の心理をクールに演じた。セリフとセリフの間に光る“余白”の演技は、映画評論家たちを驚かせたほど。
『外出』(以下『四月の雪』)孫芸珍(ソン・イェジン):「不倫が美しいこともある」
『クラシック』で可能性を認められたソン・イェジンは、『私の頭の中の消しゴム』に続き、『四月の雪』で映画評論家たちから絶賛された。配偶者の裏切りという惨めな現実の中から新しい愛に出会う状況を円熟した演技で表現した。具体的な指示をせず、俳優の感情を引き出すことで有名なホ・ジノ監督のスタイルは、慣れない俳優には難しく、かなり苦心したたはずだ。しかし、ソン・イェジンが『四月の雪』で見せた完璧な恋愛演技は、恋愛クイーンとしての華麗な将来を予測させるに十分だった。
『親切なクムジャさん』李英愛:魅惑の殺人者が新鮮
『親切なクムジャさん』の李英愛(イ・ヨンエ)もまた、企画初期から映画評論界のスポットライトを浴びた女優。これまで清楚な魅力で親しまれてきたイ・ヨンエが、連続殺人犯を演じるという事実が新鮮に受け止められてきたが、結果もまた大当たりだった。これまでのCMのイメージから見事なイメージ転換を図ったその実力は、イ・ヨンエがすでに一定の境地に到達したことを立証している。同作品でベニスのレッドカーペットを踏んだイ・ヨンエが、青龍のトロフィーを手に入れられるかに注目が集まっている。
『君は僕の運命』全度妍:涙の演技で主演女優賞に再挑戦
全度妍(チョン・ドヨン)は青龍と縁の深い女優。97年『接続』で新人女優賞を受賞したのに続き、99年『私の心のオルガン』で主演女優賞を受賞したチョン・ドヨンは、同年代の女優たちの人気が下降曲線をたどるのに反し、トップの地位を守り続けている。同作品でチョン・ドヨンは、悲しみと辛い現実の間で危険な綱渡りをしながら、作品の重心を取ることに成功した。
長きにわたり、トップの座を守る秘訣が何かを純白な涙の演技で見せてくれた。