ソウル・ロッテ百貨店14階の「Tea Loft」。
韓国伝統茶や餅、伝統菓子を現代風にアレンジして提供するこのカフェには“ペ・ヨンジュン席”と呼ばれる席がある。
カウンターから壁に沿って左側から2番目のテーブル。9月にペ・ヨンジュンがこの店に寄った際、そこに座ったという。特別に、ペ・ヨンジュン席であるという表示はなかった。しかし、座席両側にペ・ヨンジュンの写真が入った額が5つもかかっており、この座席が他のテーブルとは何か違うという感じを与えた。
「誰々の指定席」と呼ばれるのは、Tea Loftのペ・ヨンジュン席がおそらく初めてで、唯一だろう。外国の有名レストランでは、映画、メディア、政界、財界の有名人が好んで座る指定席がたくさんある。有名人の指定席があるかないかによって、レストランの評判が決まるほどだ。
有名人が現れるのは、いわゆる“流行っている”証拠で、さらに多くの客を呼び込む牽引役を果たす。売上にも大きな影響を及ぼすという話だ。このため、有名人が好む席を把握し、素早く案内できるかできないかが支配人の重要な能力の一つと評価されたりもする。
ニューヨーク「フォー・シーズンズ・レストラン(Four Seasons Restaurant)」支配人は、常連客が好む席を表示したテーブル配置図を自身が立っているカウンターの後ろに張っているという。
スターは、どんな席を好むのか。
「ニューヨークタイムズ」紙は、「最高の席は、他の人が見えて、自分は隠れて他の人から見えない席」とし、壁に背を向けて、パーテーションで遮られているブース(booth)型の席が典型的だと挙げた。他の人から見られなくて、他の人を見ることができる席は、自分がその場所を支配している感覚を与え、その場を支配するいうのは権力だ。結局、こういう席に座った人に「力のある人間」という満足感を与えると説明している。
米ビバリーヒルズにある「ザ・グリル」(The Grill)では、入り口右側1番と6番テーブルが最も人気が高い。このテーブル付くと、レストランに出入りする人が皆見える。入り口を統制するという権力のもう一つの形であり、そういう意味で、ブース席と通じるものがある。
スターが好むもう一つの席は、誰もが注目せざるを得ない席だ。英国「ル・カプリス(Le Caprice) レストラン」では、ガラス張りの隅のテーブルが、最も予約が取りにくいという。「私はこんな素敵なレストランで、こんなに立派な人と会って、こんなに素晴らしい食事をする」と誇示したい欲求を存分に満たしてくれる席だからだ。
Tea Loftのペ・ヨンジュン席は壁を背にしている。席の左右にパーテーションがあり、横の席の客はペ・ヨンジュン席に座った人の顔がよく見えない。外国の有名人たちの指定席に通じる特徴だ。
しかし外国では、有名人が頻繁に訪れる席が伝統として定着した反面、ペ・ヨンジュン席は客を呼び込むため、無理に作り出した 客寄せ戦略であるという違いがある。
客寄せ戦略は効果を発揮しているようだ。
「ペ・ヨンジュン席はどこか」と訪れる日本人観光客がかなりいるというのがTea Loftマネジャーの説明だ。取材のためこのカフェを訪れた日も、ペ・ヨンジュン席を見に来た日本人観光客たちがいた。観光客たちは“ヨン様”が座っていた席に恐れ多くて座れなかったのか、ペ・ヨンジュン席の直ぐ前のテーブル席に座った。
そして、ペ・ヨンジュンがペ・ヨンジュン席に座って飲んだという五味子茶と餅を頼んだ。それから、ペ・ヨンジュン席にちょっと座って、記念撮影をした。このカフェをペ・ヨンジュンのマネージメント会社が経営しているということを、彼女たちは知っているのだろうか。